IPO株に挑戦したい!基本の買い方と証券会社ごとに違う抽選の流れ

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「IPO株を買ってみたいけど買い方がよくわからない…」

IPO株は、証券会社ごとの取り扱い方や抽選方法など通常売り出されている株とは異なる知識がなくてはならないため、買い方が難しく感じるのです。

この記事では、IPO株の基本的な買い方と証券会社によって異なる抽選方法や流れを解説しています。

IPOの買い方:申し込み・購入・入金のタイミング

IPOとは「Initial Public Offering」(新規株式公開)の略で、企業が上場する際に株式を投資家に売り出すことを指します。

IPO株は一般的に市場の適正価格より安い価格が購入できるケースが多く、購入希望者が殺到します。
そのため、多くは申し込みをした後に抽選となり、簡単に購入することはできません。

IPO株は市場で自由に売買が開始される前に購入を希望する投資家に向けて売り出されます。
証券会社によって取り扱う株式数が異なるほか、利用状況に合わせて当選確率が上がる独自の制度を取り入れているところもあります。

IPO株を手に入れるために必要な知識を理解しておきましょう。

IPO株を買う基本的な流れ

IPO株は「ブックビルディング→抽選→当選」というステップを踏んでようやく買うことができます。

IPO株購入までの流れ 具体的な手順
ブックビルディングに参加 期間中に希望株式数と購入希望価格を入力
(※仮条件として1株あたりの上限・下限が設定されているのでその範囲内で自分が購入したい金額を入力する)
抽選結果を確認 発行価格決定日からWEB上で確認する
当選したら 期日までに購入の意思表示と購入口座の指定をする

ブックビルディングとは、申し込みの際に投資家に「購入したい価格」を申告してもらうことで需要を探り、それによって公開価格を決定する方法です。

上の流れはSBI証券の例ですが、IPOの取り扱いは証券会社によって少しずつ異なります。

入金のタイミング

IPOの購入に必要な資金は、証券口座に入金しておかなくてはなりません。

申し込みの時点で口座に残高がないと申し込みができなかったり、抽選日までに入金しなければならなかったり、資金が拘束されるタイミングは証券会社によって異なります

入金のタイミング 証券会社
ブックビルディング時 マネックス証券・SMBC日興証券
抽選時 SBI証券
購入意思表示時 岡三オンライン証券

もっとも早い段階で入金が必要なのは、マネックス証券とSMBC日興証券です。
次に早いのがSBI証券です。抽選日までに口座に資金がなければ、自動的に申し込みが取り消しとなってしまいます。

一番タイミングが遅いのは岡三オンライン証券で、当選後、購入の意思表示をするタイミングまでに購入資金を準備すれば大丈夫です。

楽天証券は、上記の流れとは異なる流れでIPOの抽選が行われます。
ブックビルディング→購入申込→抽選となり、入金は購入申込のときに必要です。

当選後辞退のペナルティとは

IPOの抽選に当選した後、購入を辞退してしまったらどうなるのでしょうか。

当選後辞退すると、ペナルティがある証券会社もあります

当選後辞退のペナルティ
証券会社 ペナルティ内容
SBI証券 申込時にIPOチャレンジポイントを使用した場合、辞退すると返還されない
SMBC日興証券 1ヶ月間IPOの申し込みができなくなり、同時期に申し込んでいる分も含めて全て無効になる
楽天証券 なし:抽選の前に購入申込をするので、そもそも当選後辞退という考え方がない

上記の証券会社は一例です。IPOの申し込みの前にはペナルティについてもよく調べておきましょう。

IPOの抽選方法をネット証券5社で比較

ここで、IPO株を買う際に重要な抽選について少し掘り下げてみましょう。

IPOの抽選方法は資金が多い方が有利な「1口1票制」と公平な「1人1票制」の2つの制度があります。

また、申し込みに際し、資金を準備するタイミングがそれぞれ異なります。詳しくみていきましょう。

証券会社ごとに異なる当選確率

IPOの抽選方法は申し込んだ口数ごとに当落が決まる「1口1票制」申し込んだ人に対し決まる「1人1票制」があります。

「1口1票制」は多く口数を申し込んだ人の方が有利、つまり申し込める資金がある人の方が有利となります。
「1人1票制」は申し込み口数に関係なく、人に対して当落が決まるので資金力は関係がありません

資金が少ない初心者の方は1口1票制で申し込める証券会社を選んだ方がいいでしょう。
ここでご紹介している証券会社の中で1口1票制なのはSBI証券と楽天証券で、他の3社は1人1票制です。

1口1票制 1人1票制
SBI証券、楽天証券 マネックス証券、岡三オンライン証券、SMBC日興証券

証券会社によって異なるIPO株の取り扱いを、それぞれ詳しく見てみましょう。

SBI証券

IPOの取扱件数が多く、さまざまなIPO株に投資する楽しみがあるのがSBI証券です。
2019年は上場した90%以上のIPO株を取り扱いました。

SBI証券のIPO

  • 独自の「IPOチャレンジポイント」というポイント制度によって当選確率を上げることができる
  • 「ストライクプライス」と呼ばれる「どの価格でも購入する」というSBI証券独自の意思表示をすることも可能
  • 落選した場合はIPOチャレンジポイントを1ポイント得ることができ、次の抽選から使用することができる

取扱銘柄が多く抽選のチャンスも多いのですが、口座開設数も多いのでなかなか当選しにくいようです。

楽天証券

楽天証券は、IPOの取り扱いがあまり多くありません。

楽天証券のIPO

  • 資金によって当選確率が変わらず誰でも公平に当選のチャンスがある
  • 抽選に参加するにはブックビルディングと購入申し込みの2回手続きが必要
  • NISA口座でIPO株を購入することができない

他の証券会社と比べるとIPOにはあまり力を入れていない楽天証券ですが、その分ライバルが少なくなるかもしれません。

マネックス証券

マネックス証券もIPO取扱数が多めですが、楽天証券と同様に公平に抽選するシステムを採用している証券会社です。

マネックス証券のIPO

  • ブックビルディングの際に「成行」という「どの価格でも購入する」という意思表示ができる
  • 申し込んだ株式数と実際に購入する株式数を当選後に変更できる

ここまではネット専門証券の紹介でした。ここからは、店舗もある証券会社を紹介します。
店舗の利用者もいるので、ネット専門証券とは買い方や抽選方法が少し異なります。

岡三オンライン証券

取り扱いIPO株が年々増加傾向にあるのは岡三オンライン証券です。

岡三オンライン証券のIPO

  • 取引額に応じて当選確率が異なるステージ制を採用している
  • ステージ判定期間中の取引金額によって3段階に分かれる

ステージの高い人(=取引金額の多い人)から抽選が行われるため、日常的に売買を行っている人や優遇コースに入っている人が有利な制度です。

SMBC日興証券

SMBC日興証券バナー

SMBC日興証券はSBI証券についでIPO取り扱い件数が多い証券会社です。

SMBC日興証券のIPO

  • 店頭配分が多く、ネット投資家への割り当ては取り扱い株式数の15%
  • ステージは資金残高もしくは信用取引建て玉残高で4段階に分けられる

基本的に店頭配分が多い証券会社ではあるものの、ネット投資家には独自の制度によって一部当選確率が異なる仕組みを採用しています。
(まず割り当て分の約10%で先に抽選を行い、その後落選した人の中でステージ割り当て分の約5%でステージごとの抽選が行われます。)

IPO株は売り方も重要

IPO株は、上場日以降の値上がりを狙うわけですから、買ったら売るのが基本です。
ですから、抽選に当たって購入できたIPO株を売る方法も確認しておきましょう。

購入したIPO株を売る手順

IPO株を売るためには、通常の売買と同じように市場が開いているタイミングで売却注文を出す必要があります。
東証、名証、福証、札証のいずれかで上場する単独上場の場合は前日の朝4時から売り注文を出すことができます。
地方市場にも上場する重複上場の場合は当日の8時からとなるので注意しましょう。

売り注文の入れ方も通常と同じで、売却金額を指定したい場合は「指値」注文、上場し、初めてついた値段である「初値」で売りたい場合は「成行」で注文をいれるといいでしょう。

IPO株の売り時を見極める

IPO株の売り時期を見極めるのは上級者でも難しいことですが、最もリスクが少ないのは初日に成り行きで売ってしまうことです。

過去4年では約8割のIPO株が公募価格を上回る傾向にあり、IPO株が人気があるのはそれが理由です。

例えば昨年上場した【4434】サーバーワークスは初値は公募価格4,780円の3.8倍の18,000円の値がつきました。

しかしだからといってずっと上がっていくという保証はなく、公募額は割っていませんが、現在は初値を下回る15,000円前後で取引されています。
初心者のうちは、よほど将来性のある株式以外は初値で売る方が無難でしょう。

この記事のまとめ

IPO株は人気があるため、なかなか当選しないという声も多く聞かれます。
抽選の方法や当選確率、入金のタイミングをよく理解することと、売るのを忘れないようにしましょう。

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