投資を今すぐ始めた方がよい理由と始め方を専門家にインタビュー

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濵島成士郎(はましま・せいじろう) 株式会社Wealth Lead代表
「投資に興味はあるけれど、ちょっとは勉強もしてから始めたい…」 将来のための投資は、日常生活で今すぐ必要というわけではないためつい後回しになりがちですが、将来の資産形成のためには少しでも早く始める方が得策です。 FUNDAVIは、将来の資産形成のための投資を今すぐ始めた方がよい理由や、おすすめの投資商品、投資の考え方を専門家にインタビューしました。
お話しいただいた方 濵島成士郎(はましま・せいじろう) 株式会社Wealth Lead代表 日本証券アナリスト協会認定シニア・プライベートバンカー
お話しいただいた方は、元証券マンで現在は「シニア・プライベートバンカー」として活躍されている濵島成士郎さんです。
スエヨシ
FUNDAVI編集部のスエヨシです。本日は投資のことをいろいろ教えてください。よろしくお願いします。
濵島成士郎さん(以下、濵島さん)
何でも聞いてください。よろしくお願いします。

投資でお金を増やす目的は3つ

スエヨシ
これから株を始める初心者の方のために、まずは何のために投資が必要なのか、投資をする目的をお伺いできますか。
濱島さん
そうですね。投資の目的としては、3つあると思っています。 まずは老後の生活資金のためです。次に、経済的な自立のため。そして、豊かな人生を送るためです。

1.老後の生活資金のため

濱島さん:例えばスエヨシさんのような会社員の方は、このままいくと早くて65歳から年金をもらい始めます。 通常は月に15万円くらいで、ご夫婦だと20万円くらいです。 スエヨシ:うーん…2人で20万円ですか…。 濱島さん:しかも、年金が減ることはあっても増えることはありません。 まあ、20万円でも暮らしていけないことはありません。ご飯に梅干し1つくらいの生活を送っていけば。 スエヨシ:なかなか厳しそうですね…。 濱島さん:生命保険文化センターという機関の調査によると、豊かな暮らしをするためには平均36万円は必要だといわれています。人によって全然違いますけどね。 スエヨシ:16万円足りないです。 濱島さん:そうなんです。ですからその差をどうするかという問題で、資産形成していかなくてはならないということなんです。しかも、人生100年時代なんていわれていますしね。 スエヨシ:長生きすればするほどお金かかりますね。 濱島さん:しかも人間て、リタイアしてからそれまでの生活水準を急に落とすのは難しいんです。 だいたい退職直前の年収の約70%くらいはかかるといわれています。 スエヨシ:7割ですか。 濱島さん:65歳で退職して仮に90歳まで生きたら、年収×70%の金額が25年間かかるわけです。退職直前に1,000万円の年収をもらっていたとしたら、年に700万円かかります。700万円×25年で1億7,500万円です。 スエヨシ:65歳からの1億超え…! 濱島さん:月に15万円から20万円の年金では豊かな生活とは程遠いですよね。所得が高い人はそれなりに年金も高いですけれど、もし年金を30万円くらいもらったとしても、年に360万円ですから約半分です。 スエヨシ:これ、どうすればいいんですか? 濱島さん:ですから、投資でお金を増やした方がいいということです。 親の介護やらいろいろありますしね。いずれにしても、少なくとも数千万円は自分の努力で何とかしなくてはいけません。

2.経済的な自立のため

濱島さん:2つ目は、経済的な自立のためです。これは、女性は特にそうかもしれません。例えば結婚したものの、夫と別れたくなってしまったときに、経済的に自立できなくて別れられないというのはよくある話です。 スエヨシ:パートナーに経済的に依存してしまうと取りたい行動がとれませんね。 濱島さん:仕事でもそうですね。お金がないからやりたくない仕事をして会社にしがみついていなきゃいけないとなったら、本当に歩みたい人生を歩めませんよね。 スエヨシ:そうですね。お金の不安があったら何か始めたくても始められませんし。 濱島さん:「公園の父」といわれた本多静六さんをご存じですか? 彼が、あれだけ巨額の資産をつくったのは、自由な仕事をしたかったためだといわれています。 スエヨシ:自分の好きな仕事をするために資産が必要ということですか。 濱島さん:そうです。彼が自分の主張を貫けたのは、十分な貯蓄があってお金には困らなかったからなんです。 スエヨシ:自分のやりたいことをやるためには、後ろ盾が必要ってことですね。 濱島さん:会社員でも同じで、お金がないとやっぱり会社をクビになったら困りますから、言いたいことも言えないような状態になってしまいます。 会社を辞めてもある程度生きていけるくらいのお金を持っておけば、思い切った行動が取れますから。

3.豊かな人生を送るため

濱島さん:3つ目は、やっぱり素敵な人生を送るためにはお金が必要ですよね。 スエヨシ:何でもお金かかりますしね。 濱島さん:例えば夢があるとか、ボランティアに行きたいとか、寄付したいとかあるじゃないですか。 スエヨシ:はい。ボランティアに行くのでも交通費かかりますし。 濱島さん:ですから、やっぱり夢をかなえたいとか成し遂げたいことのためにはお金は必要なんですよね。 スエヨシ:お金なかったら身動き取れないですもんね。 濱島さん:ですから資産形成は、思い描いた人生を送るためには絶対必要なんです。 スエヨシ:みんなお金は欲しいし、お金もうけしたいと思ってると思いますが、何のために欲しいのかなと思うことはあります。 濱島さん:自分が思い描いたようなすばらしい豊かな人生を送るためにも、お金って必要ですよね。

自分のお金は自分で増やす

スエヨシ
お金って、働く以外に得る選択肢がないと思っていました。会社員ですし。
濱島さん
働いて貯金するのももちろん必要ですが、お金を増やすということも考えてみましょう。
スエヨシ:投資をするということですか? 投資をすればお金は増えるんですか? 濱島さん:トマ=ピケティという人が言った理論で、r>gという法則があります。 スエヨシ:rとgはそれぞれ何を示していますか? 濱島さん:rというのはRETURNつまり、利回りのことです。gというのはGROWTHつまり、経済成長のことを指します。 ここでの経済成長は、所得増加の伸び率を意味します。 世界の各国の平均を取った資産の利回りは4~5%、所得の伸び率は0.5~4%だといわれています。つまり、利回りの方が必ず大きくなるという研究結果を出しました。これは、歴史的事実です。 資本があって投資をする人、つまり資本家が、どんどんお金持ちになっていくということです。 スエヨシ:じゃあ収入でお金を増やしていくのではなくて、投資した方がよいということですね? 私たちでも資本家…ミニ資本家くらいにはなれますか? 濱島さん:なれます、なれます。 いろいろな投資がありますけど、中でも株式とか債券がよいでしょう。 不動産も投資の対象ですが、金額が高いことと個別性が強いこととで、非常に難しいですから。

お金の価値は下がっていってしまう

スエヨシ:預金じゃダメなんですかね? 濱島さん:例えば、今度消費税が2%上がります(取材時は2018年11月)。それから、社会保険料を取られる金額が高くなっていますよね。これからどんどんお金の価値が下がる時代になっていくでしょう。 スエヨシ:すっごくわかります。社会保険が上がっているのは肌で感じています。 濱島さん:ある人が調べたんですけど、例えば年収約700万円の人で、社会保険の値上がりで年収が50万円減っているんです。 スエヨシ:定期預金の金利はほとんどないのに、収入が上がるのに追いつかないくらい社会保険料も消費税も上がっていくんですね。 濱島さん:ここ何年かはデフレで物価が下がっていたからまだいいんですが、物価が上がってきたときにどうかってことです。 スエヨシ:そこに気づけるかが大事ですよね。収入が増えているので、何となく資産が増えているという感覚に陥っています。 でも、1万円で買えるものの価値は絶対に低くなっている。自分で思っているような生活ができないことに気づいた頃には遅いんですよね。 濱島さん:そのとおりです。 スエヨシ:投資の勉強を始めてみて、このことを知ったときが一番怖かったです。 でも、将来のことってなかなかイメージできないし、何がどう困るのかっていうところまで考えが及ばないんです。 濱島さん:将来のことって、そのときになってみないとわからないですよね。だからお金を増やすなら、お給料から自動的に天引きされるのが一番いいんじゃないかと思います。

将来のためにお金を増やす投資を

スエヨシ:年金もお給料から天引きされていますが、自分の将来のお金になるわけではないですよね? 濱島さん:そうですね。今我々が払っている年金は、今お年を召した方の年金になっています。 だから、私は確定拠出年金がいいんじゃないかなと思います。 スエヨシ:自分の将来のお金を自分でつくっていくってことですか? 濱島さん:シンガポールでは、社会人になったら強制的に国の仕組みでお給料の1/3以上が積み立てられていくんです。自動的に。 スエヨシ:へぇ!それを運用しているんですか? 濱島さん:政府系のファンドが運用してリターンを出しています。 ですからシンガポールの人は55歳のリタイアのときまでに平均1億円以上はもっているといわれています。 スエヨシ:シンガポールの人は、自分でも投資をしているんでしょうか? 意識とか関心が高いですね。 濱島さん:自分でも投資や運用をしていると思いますよ。シンガポールでは金融に関する教育も普通になされていますし。 スエヨシ:日本が追いつくのには時間がかかりそうですね…。 濱島さん:人生100年時代なのに…。長生きしたらお金がかかるんですよ。生きる時間が長くなって、働けない時間も長くなるんですから。

具体的にどういう投資をすればお金は増えるのか

スエヨシ
具体的に、どういう投資をしたらいいのでしょうか? 株を買えばいいのでしょうか?
濵島さん
私は、最初は個別株はあまりおすすめしません。株は関心と知識をもってからした方がいいです。 私のおすすめは、投資信託です。

低リスクで増やせる投資信託がおすすめ

スエヨシ:どうして投資信託がおすすめなのですか? 濱島さん:一言でいうと、リスク分散ができるからです。投資が成功するキーワードは「長期」と「分散」です。 株価というのは、業績に関係なく毎日動いています。そこに一喜一憂していると失敗してしまいます。 でも、株価というのは長期で見るとフェアなんです。会社の利益と株価は長い目で見ればちゃんと連動していますから。だから、短期投資ではなく長期で見るのがポイントです。 スエヨシ:それで投資信託がおすすめということですか? 濱島さん:それに投資信託は「分散」もできるのです。投資信託が良いのは、1つの銘柄だけに投資することのリスクを避けられるところです。 スエヨシ:投資信託には株とか債券とか、いろいろな商品が入っていますね。 濱島さん:そう。だから投資信託をもっているだけで、分散投資していることになるのです。 スエヨシ:長期でお金を増やしていくということは、早く始めた方がいいですよね。 今すぐ始めたくなってきました。

投資信託を選ぶポイント

スエヨシ:投資信託にもいろいろな商品がありますが、どういうものを選べばよいかがわからないです。 濱島さん:ポイントは、純資産額が伸びていること。資金が継続的に入ってくる商品は強いんです。 スエヨシ:純資産額が高くて強いってことは、高くて買えないような気がしてしまいますが? 濱島さん:買い方は、毎月定額の積み立てがよいでしょう。定額なら、自分で決めた金額でできますから。 スエヨシ:無理のない範囲でできそうです。 濱島さん:これも分散投資なんですよ。ドル・コスト平均法というのを聞いたことありませんか? スエヨシ:一定の金額で買うことで、価格が高いときは少なく買って、安いときは多く買えるということですか? 濱島さん:そうです。投資信託の基準価額は変化しますから、高いときと安いときの差を平均化するために積み立ては有効です。 スエヨシ:投資信託、買ってみたくなりました! 濱島さん:これを税制優遇しながらやってくれるのが、先ほど話した確定拠出年金です。 スエヨシ:老後の安心のために、投資という選択肢が増えました。

投資で未来をつくる

スエヨシ
ちょっと余談ですが、お話を聞いていると、投資ってクラウドファンディングみたいなものですね。
濵島さん
仕組みは同じです。経済のことが少しずつわかってきたら、個別銘柄に投資をしてみてもいいと思いますよ。
スエヨシ:個別銘柄を買うなら、どういう企業の株を買ったらよいんでしょう? 濱島さん:単純に、ユーザー目線で「いいな」と思った企業の株を買うのがいいですね。あとは、「世の中のためになりそうだな」とか。 株の売買でリターンを得るのもいいですが、企業の株を買うということは、その企業の事業に投資するということです。 株主から預かったお金で、企業はもっといいものをつくります。そのおかげで社会が豊かになります。例えば、自分が投資したことでスマホの機能がより良くなるかもしれません。 スエヨシ:世の中が豊かになったら、また投資したくなりますね。 濱島さん:その好循環が、投資によって生まれると最高ですね。 スエヨシ:投資は社会貢献なんですね。 濱島さん:これから日本は人口が減るとされていますしね。そうなるとやはり国の活力は衰えていきます。 これからの日本が豊かな暮らしをするために、どうすればよいか。 豊かな暮らしをつくることができる企業にお金を託せる投資という仕組みが未来の日本をつくっていくのだと、私は思います。 スエヨシ:投資って、自分のお金を増やすだけではないんですね。 多くの人に、投資の目的や意義をもっともっと知っていただきたいです。今日は大変勉強になりました。ありがとうございました。

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