目次
株の買い方は商品の種類や目的で考える
株式投資を始めるときにまず決めなくてはならないことは、「どんな株を買うか」ということですね。
株といってもいろいろな種類がありますし、目的によって買うべき株も変わってきます。どんな株を買うべきか考えてみましょう。
もちろん、買いたい株が決まっているという方は読み飛ばして先に進んでください。
ここでは、以下の4種類に分けてそれぞれの特徴、買い方を紹介していきます。
- 国内株
- 外国株(米国株)
- IPO株
- 優待株
1.国内株
国内株は4種類の中でもっともわかりやすい種類の株で、文字どおり日本国内企業の株を指します。
2019年12月の時点で、約3,700社の企業の株式を売買することが可能です。
国内企業の株の買い方は、大きく分けると「値上がり狙い」と「配当狙い」の2種類に分けられます。
値上がり狙いの株の買い方
値上がり狙いは、株の値上がりを期待して、安く買って高く売る購入方法です。
値上がりが見込める株をどのようにして見つけるかが、この買い方のポイントになります。
このような株は、実は自分の生活の周りに潜んでいることが多いという事実があります。
直近では、作業服を扱う量販店のワークマンが、高機能かつデザイン性のあるアウトドアファッションを販売したところ大流行し、2018年12月から2019年12月で株価は約3倍となりました。
▲ワークマンの5年間の株価推移(出典:Yahoo!ファイナンス)
他にも大ヒットしたスマホゲーム「ドラクエウォーク」の共同開発会社であるコロプラは、ゲーム発表後に株価が一時2.5倍に跳ね上がりました。
身近なヒット商品や流行に敏感になり、そのサービスを提供している会社の株を購入することが、株価値上がりによる利益を得る一つの方法といえます。
配当狙いの株の買い方
もう一種類の買い方が配当狙いです。
株の中には、保有しているだけで配当金と呼ばれる現金を受け取れる銘柄が存在します。
例えば、JT(日本たばこ産業)は、2018年の1年間に100株保有していた場合、15,000円(税引き前)を受け取ることができました。
大手電機メーカーであるキヤノンの株を2019年3月から9月までで同じく100株保有していた場合、16,000円(税引き前)を受け取れました。
このような配当金を多くもらえる株を保有するための購入方法が、配当狙いです。
配当金や配当率が高い会社は、Yahoo!ファイナンスなどのサービスで検索することができます。
2.外国株(米国株)
株の購入を考えるうえで外国株、特に米国株は外せません。
日本ではあまり知られていませんが、アメリカの代表的な指標であるNYダウは、1970年から2019年までの約50年間で100倍以上に上昇しています。
▲NYダウの10年間の株価推移(出典:Yahoo!ファイナンス)
上のチャートを見てもわかるように、最近10年だけを見ても、約3倍の伸びです。
当然アメリカ人の多くはこの事実を知っており、株は長期的に上昇していくものと認識しています。
そのため、アメリカ人は資産の約50%を株式などで保有して、資産形成しているのです。
米国株は、日本国内でも購入可能な銘柄があります。
米国株の買い方も日本株同様、「値上がり狙い」と「配当狙い」の2種類に区分できますが、日本株と比べるとそのスケールは非常に大きくなります。
米国株の値上がり狙い
値上がり狙いでは上述のとおり、代表的な指数であるNYダウやS&P500に連動する商品でも、ある程度利益を見込めます。
個別銘柄ではGAFAと呼ばれる銘柄が有名です。GAFAは、Google、Apple、Facebook、AmazonというIT企業群の略称です。
もし10年前の2009年にこれら企業の株を購入していた場合、それぞれ株価は6倍、12倍、5倍、25倍となっています(Facebookは上場した2012年の株価をもとに算出)。
GAFAのサービスは日本でも十分に浸透しており、多くのユーザが存在します。
▲GAFAの10年間の値動き率(出典:Yahoo!ファイナンス)
日本株同様、身近なヒット商品や流行に敏感になり、サービスを生み出している企業の株を購入することが上手な株の買い方といえます。
米国株の配当狙い
配当狙いでも、米国株は日本株を上回るパフォーマンスが出ています。
基本的に、アメリカでは「株式会社は株主のもの」という意識が強く、利益の株主還元策として配当を重視している企業が日本以上に存在します。
最低単元株が異なるため日本企業との単純比較は難しいですが、IBMやエクソン・モービルなど、配当利回りが高い企業が多く存在します。
またコカ・コーラやジョンソン&ジョンソンなどは、何十年も増配を続けており、日本企業には少ない長期連続配当銘柄が多いこともアメリカ企業の特徴です。
こうした高配当、連続配当銘柄に投資することが、配当狙いでの米国株買い方のコツです。
3.IPO株
IPO(新規公開株)とは、未上場企業が新規に株式を証券取引所に上場することです。
IPOは、個人投資家の中でも特に人気のある種類の株です。
2018年は90社のIPOがありましたが、これらの銘柄を購入してすぐに売却した場合、90社のうち80社でプラスとなりました。
特に人気の銘柄は、購入株価の10倍以上の価格で売却可能となりました。
利益が出る確率の高さは2018年だけではなくほぼ毎年続いており、2013年は96.3%の銘柄で利益が出ました。
IPO株は、証券会社が購入希望者を対象におこなう抽選に申し込み、当たらないと購入できません。
短期間で利益を得られる可能性が高いため、IPO株は常に人気が高く購入するのが難しいのです。
4.優待株
最後に紹介するのは優待株です。
株をもっているだけで「株主優待」を受け取ることができる銘柄が存在します。
例えば飲食店のサイゼリヤは、100株保有していると株主優待として2,000円分の食事券がもらえます。
ディズニーランドを経営しているオリエンタルランドの株は、100株保有で1デーパスポートを1枚受け取れます。
優待株の買い方のポイントとしては、よく使うお店やサービスを経営している企業の株主優待を調べてみることです。
使うことが決まっているお店やサービスに優待が使えるなら、配当金ではなく株主優待をもらった方が得をするかもしれません。
初心者でも簡単!株の買い方3大ポイント
ここまで、株の種類ごとの買い方を確認してきました。
ここからは、どんな株を買うときにも頭に入れておきたいポイントを説明していきます。
1.最小単元で株を買う
初めて株を購入するならば、まずは最小単元での株購入をしてみましょう。
株は銘柄ごとに最小単元が設定されており、日本株は一部の銘柄を除いて基本的に100株単位での購入となります。
初めて株を購入する際は、この最小単元で購入した方が無難です。
なぜなら、株価を完璧に予測することは不可能であり、どんなに覚悟していても株価が上下すると多くの方は動揺してしまうからです。
ひとことアドバイス
いきなり大量の株を購入することは控えて、まずは最小単元で購入し、株を保有することに慣れましょう。
株価が上昇し欲張りすぎて売り時を逃すことや、株価が下落して動揺して損切りしてしまうこともあるかもしれません。
しかし、そうした経験を通して株の買い方を身につけていけるのです。
2.買う前に株価の動きを理解する
いったん株を保有したら、株価の動きを理解する努力が必要です。
株価はさまざまな要因で変動します。政治、経済動向、個別ニュースなど、数え出すとキリがありません。
株価の動きを分析し変動の原因を探ることは非常に重要ですから、できれば株を買う前にある程度の知識を身につけておきましょう。
最初はなぜ株価が変動しているのか理解できないかもしれません。
しかし情報を集め、取捨選択することを繰り返すうちにだんだんと、どのような要因が株価に影響を与えるのかが見えてきます。
ひとことアドバイス
この力が身につくまでは時間がかかるうえ、知らないことを次々と調べる必要があるため楽ではありません。
ですがこのトライアンドエラーを経験しないと、株価の動きを理解する力は手に入りません。
ぜひとも多くの情報にふれ、株価変動の要因などを自分なりに分析してみてください。
この地道な作業を繰り返すことが、資産形成を成功させる秘訣なのです。
株価の変動について詳しく読む
株価が変動する理由とは?売買のタイミングに見極めるコツを紹介
3.買うときに売るタイミングを決めておく
株は、買うより売る方が難しいといわれます。
株価がまだまだ上昇すると見込んで売り時を逃すことや、株価が下がりきったと思って株を売らずに保有していたらさらに下落するなど、多くの失敗ケースがあります。
そんな失敗を防ぐ方法の一つが、株を売るタイミングを決めておくことです。例えば「株が10%上昇/下落したら売却する」など、あらかじめ自分でルールを設定しておき、そのルールに従って売買を実施します。
人間は、どうしても感情によって行動が左右されてしまうことがあります。
これは投資初心者にかぎらず、ベテラン投資家でも同じです。
そのため、ベテラン投資家は自身の売買ルールを明確にして、感情に影響されない投資をしています。
そうした投資手法を身につける第一歩として、まずは売るタイミングを決めておきましょう。
ひとことアドバイス
大切なことはルールを確実に守ることです。そして売却後に自分の投資が適切であったかを振り返り、次の投資に生かします。
この繰り返しによって自身の投資スタイルを確立させ、資産形成を促進させることができるのです。
どこで?どうやって?基本の株の買い方
株を買うためには、証券口座を開設する必要があります。
以前は煩雑な手続きが多く手間取る方も少なくありませんでしたが、最近はネット証券などでスムーズに口座開設が可能となっています。
そうはいっても初めての方は戸惑うことも多いでしょう。ここでは証券会社選定や口座開設に焦点を当て、ご説明していきます。
証券会社の選び方
まずは証券会社の選定です。
国内にたくさんある証券会社の中から自分に合った会社を選ぶことは、悩みどころの一つです。ここでは株の種類ごとに証券会社を紹介していきたいと思います。
国内株、優待株
国内株、優待株は基本的にどこの証券会社でも購入可能です。
SBI証券、楽天証券、松井証券をはじめとするネット証券会社は、手数料値下げ競争の結果、店舗のある対面証券会社の10分の1以下の手数料で取り引きできます。
SBI証券
業界最安水準の手数料
- 約定ごとに手数料がかかる「スタンダードプラン」なら取引金額10万円以下で90円(税抜)
- 定額の「アクティブプラン」なら1日50万円以下で無料
楽天証券
業界最安水準の手数料
- 約定ごとに手数料がかかる「超割コース」なら取引金額10万円以下で90円(税抜)
- 定額の「いちにち定額コース」なら1日50万円以下で無料
松井証券
定額で安心の手数料
- 1日の約定代金が50万円以下なら無料
外国株(米国株)
外国株(米国株)は証券会社によって商品ラインナップがかなり異なるので、多くの外国株を扱っている証券会社を利用するのがよいでしょう。
外国株を多く扱っている証券会社は、上述したSBI証券とマネックス証券です。
両社とも外国株の取扱銘柄数が業界トップクラスであり、特にマネックス証券は米国株を3,000銘柄以上取り扱っています。
マネックス証券
安めに設定された手数料
- 国内現物株は取引金額10万円以下で100円(税抜)
- 米国株の手数料は0米ドル(税抜)~と業界最安水準
外国株(米国株)取引で気をつけるべき点として、日本円から外貨へ変換する為替手数料があります。
この手数料はスプレッドと呼ばれ、株取引の手数料に加えて負担することとなります。
外貨を保有している方は日本円でなく外貨で直接投資した方が、余計な手数料を支払わなくて済みます。
IPO
IPO株は、証券会社の抽選に応募し、当選して初めて購入可能となります。
そのため、IPOが当選しやすい証券会社を見極めることが購入の第一歩となります。
IPOを取り扱う証券会社は「主幹事」とそれ以外に分けられます。
主幹事証券会社は多くの新規上場株を保有しているため、基本的に主幹事証券会社にIPOを申し込む方が当たる確率が上がると考えられます。
なお、複数の証券会社にIPOを応募することも可能であるため、主幹事証券会社に応募しつつ、他の取扱会社にも応募する方法が一般的です。
IPOの主幹事は規模の大きい証券会社が担当する傾向にあり、SMBC日興証券やSBI証券は、主幹事担当数が多い証券会社です。
両社とも主幹事を担当することが多いことに加え、取引手数料が安めというメリットもあります。
SMBC日興証券
業界トップクラスのIPO取扱数
- 2018年の国内IPO全95件のうち71件に関与
証券口座を開設する
証券会社を選んだ後は、いよいよ口座開設です。口座開設は基本的に各証券会社の口座開設案内に従い、必要事項を入力して本人確認書類をアップロードすれば問題ありません。ただし、申し込みの際に必ずマイナンバーが必要になるので手元に準備しておきましょう。
また、本人確認書類は運転免許証などの写真付きのものであれば1種類、写真なしの健康保険証や住民票などは2種類提出が必要です。
証券口座を開くときには以下の3種類の口座から1つを選ぶ必要があります。
申し込み手続きの中で多くの人が迷うポイントなので、違いをよく確認しておきましょう。
口座の種類 | 特徴 |
---|---|
1.源泉徴収ありの特定口座 | 証券会社が投資家に代わって税金を計算し納めてくれるので確定申告不要 |
2.源泉徴収なしの特定口座 | 証券会社が作成した年間取引報告書を使って本人が確定申告をする |
3.一般口座 | 利益や税金の計算から確定申告まで本人が行う |
口座の種類によって、税金を自分で計算して自分で納めるかどうかが変わってきます。
初めての口座開設であれば、難しい手続きの必要がない1か2のいずれかを選ぶといいでしょう。
スマホで株を買う方法
スマホの普及とともに、証券会社のスマホアプリも進化を続け、今ではスマホで株を買いやすくなっています。
今回はSBI証券のアプリで、2019年12月に上場したばかりの「フリー株式会社」の画面を例にしています。
証券会社名 | スマホ画面 |
---|---|
1.まずはアプリを立ち上げ、買いたい銘柄を検索→表示させます。 | |
2.1の画面上部の「取引」ボタンを押すと、売買画面が開きます。 | |
3.2の画面左上の「現物買」ボタンを選択し、注文画面を開きます。 | |
4.注文画面が右のように表示されます。 |
ここで注文の詳細を入力しますが、初めて株を買う方は以下のように設定するのがよいでしょう。
預かり区分 | 特定 |
---|---|
注文種別 | 通常 |
株数 | 100 |
価格 | なし |
執行条件 | 成行 |
期間 | 当日中 |
「預かり区分」の特定口座は、証券会社が税金計算を自動で担う口座です。最初から自分で税金計算をすることは難しいと思いますので、特定口座の利用がよいでしょう。
「注文種別」「執行条件」「期間」は、注文にさまざまな条件を付けることが可能な仕組みです。
取引が頻繁になると使う機会が増えますが、まずは基本である通常注文、執行条件なし、期間は当日中を選ぶとよいでしょう。
「価格」には、注文時点の値段で購入する成行と、価格を指定する指値の2種類があります。
注文方法の種類
- 指値注文…自分で売買したいと思う値段を指定して注文を出す注文方法。売買したい値段を自分で決めることができますが、その株価にならなければ約定できないというデメリットがあります。
- 成行注文…値段を指定せず、注文を出したときの値段で売買する注文方法。なるべく早く売買したいときや相場の動きが激しいときに約定しやすくなります。
- 逆指値注文…株価が指定した価格以上になれば買い、指定した価格以下になれば売る注文方法。一定の条件で売買できるので、日中あまり株価を見られない方などに向いています。
指値は安い価格で購入できる可能性がある一方、株価次第で注文が成立しない可能性があるため、最初は成行で確実に注文を成立させることから始めてみましょう。
上記操作で注文が完了し、株を買うことができます。