証券会社の信用取引 手数料と審査で7社を比較

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「信用取引を始めたいけど、どの証券会社がいいの?」

「信用取引はリスクが高いイメージがあるけど大丈夫?」

信用取引はハイリスクハイリターンというイメージをもっている人がいるかもしれません。
しかし、いまや個人投資家の取引の半分以上は信用取引といわれ、多くの投資家が信用取引をしています。

そのため、信用取引の動きが株式市場に与える影響は大きく、信用取引をしないとしても、基礎的な知識をもっておくことはプラスになります。


証券会社名 ポイント 詳細
楽天証券
  • 取扱商品数で選ぶ人向け
  • 使いやすさに定評があるツール(MARKETSPEED)は
    2019年6月からついに無料化

詳細

SMBC日興証券
  • 信用取引の約定手数料が無料
  • IPOの取扱銘柄も他社より豊富

詳細

信用取引をする証券会社を選ぶポイント

信用取引を行う証券会社を選ぶポイントは、以下の3つです。

  1. 信用取引手数料が安い
  2. 金利が安い
  3. 一般信用取引の信用売りができる

信用取引での証券会社選び

1.信用取引手数料が安い

信用取引手数料とは、信用取引の取引金額に応じてかかる費用のことです。
投資にかかるコストを抑えるためには、信用取引手数料が安い証券会社を選びましょう。

以下の表は、おもな証券会社の信用取引手数料(1日定額)をまとめたものです。

証券会社名 信用取引手数料(税抜)
~20万円 ~50万円 ~100万円 ~300万円
楽天証券
(いちにち信用取引)
0円 0円 0円 0円
SBI証券 0円 239円 477円 1,277円
松井証券(一日信用取引) 0円 0円 1,000円 3,000円
SMBC日興証券(ダイレクトコース) 0円 0円 0円 0円
auカブコム証券 135円 180円 760円 1,100円
GMOクリック証券 200円 200円 400円 1,200円
ライブスター証券 400円 400円 400円 1,200円

※松井証券はデイトレード(一日信用取引)で当日中に反対売買で決済すれば、売買手数料は無料です。
※楽天証券の「いちにち信用取引」はデイトレードに特化した取引で、売買手数料は無料です。

下の表は、取引1回あたりの手数料をまとめたものです。ただし1日に何回も取引をする場合は、上記の1日定額制の方が手数料が一定のため有利です。

証券会社名 信用取引手数料(税抜)
~20万円 ~50万円 ~100万円 ~300万円
楽天証券 135円 180円 350円 350円
SBI証券 135円 180円 350円 350円
松井証券 0円 0円 1,000円 3,000円
SMBC日興証券(ダイレクトコース) 0円 0円 0円 0円
auカブコム証券 定額プランなし
GMOクリック証券 130円 170円 240円 240円
ライブスター証券 一律80円(300万円超は無料)

2.金利が安い

信用取引では、証券会社から投資資金を借りて取引を行います。
資金を借りると金利が発生するため、金利が安い方が投資コストは下がります。

以下の表は、一般信用取引で投資資金を借りた場合の金利です。

買建金利(年率) 制度信用 一般信用
楽天証券 2.80% 2.80%
SBI証券 2.80% 2.80%
松井証券 3.10% 4.10%
SMBC日興証券(ダイレクトコース) 2.50% 3.00%
auカブコム証券 2.98% 2.79%
GMOクリック証券 2.75% 2.00%
ライブスター証券 2.30% 2.75%

信用取引の金利には買建と売建があります。 売建の場合は証券会社から借りた株を空売りするので、その借りた株の金利を支払うことになります。これを貸株料といいます。 下の表は、証券会社ごとの貸株料の比較です。

売建金利(貸株料) 一般信用 制度信用
楽天証券 1.10% 1.10%
SBI証券 1.15% 1.10%
松井証券 1.15% 2.00%
SMBC日興証券 1.15% 1.40%
auカブコム証券 1.15% 1.50%
GMOクリック証券 0.80%(無期限)
3.85%(短期)
1.10%
ライブスター証券 1.10% -

※ライブスター証券は制度信用取引のみです。

3.一般信用取引の信用売りができる

一般信用取引の信用売りができると、投資家に人気の「優待売り」が可能です。

優待売りとは、一般的な信用取引では入手ができない株主優待を受け取るテクニックのことです。
一般信用取引や優待売りについては、後ほどくわしく説明します。

信用取引の基礎知識やメリット・デメリットを先に知りたい方は「信用取引の基礎知識・メリットやデメリット」をご覧ください。

信用取引で選ぶ証券会社

SMBC日興証券

SMBC日興証券バナー

ポイント

SMBC日興証券では、株式委託手数料が無料になるダイレクトコースが用意されています。約定代金や期間に関わらず無料になるのはSMBC日興証券のみです。またトレーディングツール『パワートレーダー』や『詳細チャート』を活用すれば、相場やどんな業種や企業がマーケットで注目されているのかを知ることができます。 また、「逆日歩予報」というサービスがあり、発生するか否か、どの程度の金額が発生するかの予報をメールで送ってくれます。

楽天証券

ポイント

楽天証券では、いちにち信用というコースがあり、委託手数料が約定代金に関わらずデイトレードであれば無料となっています。またトレーディングツール『iSPEED』はスマホアプリとして提供されており、外出先でも株価の確認から注文まで行うことができます。特にスクリーニング機能が優れており、値上がりしている株であればチャートの形状で検索をすることができることが特徴です。

auカブコム証券

ポイント

auカブコム証券は、一般・制度あわせた売建可能銘柄が2000銘柄(2019年11月現在)を超えており、他社と比較して銘柄数の多い証券会社です。優待取りで知られるつなぎ売りは、逆日歩のかからない一般信用取引で行われるため、取り扱っている優待銘柄が多い方が選択肢の幅が広がります。

SBI証券

SBI証券のキャプチャ

ポイント

SBI証券は、auカブコム証券と同様に売建可能銘柄が多い証券会社です。auカブコム証券と比べると手数料・金利が安いことが特徴です。また信用取引口座を開設するとトレーディングツール『HYPER SBI』を無料で使用することができます。 また「預り金自動スィープサービス」を使えば、証券口座への入金・振替手数料は無料で、必要保証金が自動的に証券口座と銀行預金の間で精算が行ってくれます。

松井証券

ポイント

松井証券は、『一日信用取引』というコースがありデイトレードであれば手数料が無料です。売建可能銘柄は930銘柄(2019年11月現在)となっています。また、プレミアム空売りという、新興市場で人気の銘柄で空売りが可能なデイトレード専用の銘柄も取り扱っています。

GMOクリック証券

ポイント

GMOクリック証券は、委託手数料が安いことが特徴の証券会社です。信用取引だけではなく、現物取引でも手数料は安くなっています。信用買いの一般信用の金利も2.0%と他社と比べ安くなっています。

ライブスター証券

ポイント

ライブスター証券は、委託取引手数料・金利がどちらも安く抑えられている証券会社です。一律(つどつど)プランでは、一日の約定代金の合計が300万円以下なら一律で80円となっています。また、無料のセミナーに参加することができライブスター証券の担当者が信用取引の方法などについて、ていねいに解説をしてくれます。

開設したい証券会社が決まったら、いよいよ口座開設の申し込みをしますが、その後に証券会社による「審査」があります。

信用取引の口座を開くときの審査基準

信用取引は現物取引より損失のリスクが高く、証券会社が投資家から資金を回収できなくなるリスクがあるため、審査があります。
信用取引口座開設の審査のポイントは、おもに以下3つです。

  1. 投資経験
  2. 金融資産
  3. 年齢

1.投資経験

初めての信用取引の場合は経験がゼロですが、この場合の審査基準はこれまでの株投資の経験となります。他社の投資経験でもかまいません。最低でも1年間の投資経験が必要とされるようです。

2.金融資産

信用取引の場合、金融資産が審査のポイントになります。証券会社によって基準は違いますが、一般的には最低でも100万円は必要とされています。100万円以下の場合は審査に通らない可能性が高いです。

3.年齢

年齢の上限を80歳にしている証券会社が多いです。また20歳未満の場合口座開設ができないこともあります。

その他の審査基準としては「常に連絡が取れる状態にあること」、「インターネット環境が整っていること」、「メールアドレスをもっていること」などがあります。

信用取引への理解を深めたい人のために、信用取引の基礎知識やメリット・デメリットなどをお伝えします。

信用取引の基礎知識・メリットやデメリット

信用取引とは証券会社から借りた資金や株式で取引をすること

信用取引とは、あなたの信用を担保にして証券会社から資金や株式を借りて、株を売買することです。 その担保の一つは、「委託保証金」と呼ばれる保証金です。

委託保証金は売買額の30%が必要となり、例えば100万円の売買をする場合は、委託保証金が30万円必要です。 ちなみに、委託保証金の下限は30万円以上としている証券会社が多く、現金や保有している株式などを委託保証金の対象とすることができます。

信用取引を行うメリット3つ

信用取引を行うメリットは、以下の3つです。

  1. 資金の約3倍の売買ができる
  2. 株価が下がっている局面でも利益が出せる
  3. 株主優待を入手できる

1.資金の約3倍の売買ができる

信用取引の一番のメリットは、自己資金の約3倍に当たる売買ができること。例えば、30万円の委託保証金を用意できれば、100万円までの取引ができます。 取引金額が増えると、売買できる株式の種類や量が増えますし、分散投資をするなど投資の選択肢が広がります。

注意点としては、信用取引では資金や株式を証券会社から借りるため、金利が発生することです。そのため、証券会社を選ぶ際は、金利をきちんとチェックする必要があります。

2.株価が値下がりしている局面でも利益を出せる

自己資金で取引をする「現物取引」では、株価が安い局面で購入し、高値になったら売却して利益を出します。そのため、保有株の株価が下がっている局面では利益を出しにくいです。 しかし、信用取引の場合は、「信用売り(売り建て)」という仕組みを利用することで、株価が下がっている局面でも利益を出すことができます。

信用売り(売り建て)とは、投資家がまず証券会社から株式を借りたうえで、その株を売ることです。そして、株価が下がったら株を買い戻して、証券会社に株を返します。 例えば、株価が1000円のときに株を借りて売り、株価が900円のときに株を買い戻し、証券会社に株を返したら、手元に100円の利益が残ります。

3.株主優待を入手できる

実は信用取引では、株主優待株を保有していても、株主優待を受け取ることができません。 なぜなら、証券会社からの融資で株を購入しているため、株の名義人になれないからです。

しかし、信用取引の仕組みを利用すれば、株主優待を入手できるんです。 具体的には、「権利付き最終売買日」と呼ばれる株主優待の権利が確定する日のみ、株式を保有します。

取引の手順は、以下の通りです。

1.目当ての株主優待株に対して、現物取引で「成行買い注文」をします (成行買い注文とは、価格を指定せずに注文に出し、そのときに一番安く売り注文していた人と売買が成立することです)

2.1と同じ時間帯に同じ銘柄に対して、1と同じ株数を信用取引で「成行売り注文」します。 同時に行うことで、同じ株価で売買が成立した状態です。 (成行売り注文とは、価格を指定せずに注文を出し、そのときに一番高く買い注文していた人と売買が成立することです)

3.権利付き最終日は、株主優待の権利を得るために株式を保有しておきます。

4.権利付き最終日の翌日に、信用取引で証券会社から借りていた株を返します。
その際、現物取引で買っていた株を充当し、該当の株を保有していない状態になりました。

注意点は、上記の1と2を株主優待の権利が確定する「権利付き最終売買日」の前日の取引終了時間から、翌日の取引開始までの間に操作することです。

上記の方法で手続きをすれば、取引手数料や信用取引の金利はかかりますが、株価変動の影響を受けずに株主優待を入手することができます。 この手法は「優待取り」や「クロス取引」などともいわれます。

現物取引で株主優待株を保有すると、権利確定後に株価が下がることが多く、売るタイミングによっては損をする可能性があります。しかし、このように信用取引を活用すれば、株価変動の影響を気にすることなく、株主優待を入手できるんです。

ここまで、信用取引のメリットをお伝えしました。 信用取引をする際に必ず理解しておきたいのは、信用取引のリスク(デメリット)です。

信用取引における2つのリスク(デメリット)

信用取引を行う際のリスクは、おもに以下の2つです。

  1. 「追証(おいしょう)」が発生する可能性がある
  2. 「逆日歩(ぎゃくひぶ)」が発生する可能性がある

聞きなれない単語が出てくるので、少し難しく感じるかもしれませんが、一つずつ説明しますね。

1.「追証(おいしょう)」が発生する可能性がある

信用取引を行うときに一番懸念されるのは、自己資金である委託保証金の額を超えて損害が出ることです。 こうした事態を未然に防ぐために、「追証(おいしょう)」と呼ばれる、追加の保証金の仕組みがあります。

追証はどんなときに発生するのでしょうか?

追証を理解するうえで知っておきたいのは、「委託保証金維持率」の存在です。 委託保証金維持率とは、信用取引での購入金額に対する委託保証金の割合のことで、多くの証券会社は、最低委託保証金維持率を20%に設定しています。

そして、委託保証金維持率が20%を下回ったときに、証券会社はこの割合を上げるために委託保証金の追加を要求します。この追加の保証金が追証(おいしょう)です。

少しわかりにくいと思うので、具体例を交えてご説明します。

委託保証金30万円をもとに、信用取引で100万円の株式を購入した場合、以下の計算式から、委託保証金維持率は30%です。

1.委託保証金(30万円)÷信用取引での株式購入額(100万円)=30%
この時点では何の問題もありません。

しかし、購入した100万円の株式の株価が下がって90万円になり、10万円の評価損が発生しました。すると、以下の計算式のように委託保証金維持率は20%になります。

2.委託保証金(30万円-10万円)÷信用取引での株式購入額(100万円)=20%

多くの証券会社は、委託保証金維持率が20%以上であることを目安にしていますので、この時点でも引き続き信用取引を行うことができます。
さらに株価が下がって85万円となり、15万円の評価損が発生すると、以下の計算式のように委託保証金維持率は15%となります。

3.委託保証金(30万円-15万円)÷信用取引での株式購入額(100万円)=15%

先ほどお話ししたように、委託保証金維持率が20%を下回ると、追証を支払わなくてはいけません。 そのため、証券会社から「5万円を追加で証券会社の口座に入れてください」という連絡がきます。決められた期日までに入金できなければ、証券会社に強制的に株を売られてしまいます。

追証の存在によって自己資金を超えた損失が出ないようになっているのです。

2.「逆日歩(ぎゃくひぶ)」が発生する可能性がある

「逆日歩(ぎゃくひぶ)」は、特定の株券が市場で不足したときに発生します。
逆日歩とは、株券が不足したときに「証券金融会社」が、銀行や機関投資家などの外部から株券を調達する際のレンタル費用です。

証券金融会社は、証券会社が必要とする株式や資金を貸しつけます。通常、証券会社は投資家から売り建て注文が入った際に、証券金融会社から株式を調達しています。 (売り建て注文とは、投資家が証券会社から株式を借り入れ、先に売却して買い戻す取引のことです)

しかし、先ほど紹介した「優待取り」などで特定の銘柄に注文が殺到し、証券金融会社が保有する株式が足りない場合、証券金融会社は外部の銀行や機関投資家などから株を借ります。 その際に発生する株のレンタル費用を「逆日歩」といい、その費用は該当株券の売り注文をした投資家全員が負担をします。 そのため、逆日歩が発生すると売買コストが上がり、株価の乱高下が発生するリスクがありますので、注意が必要です。

しかし、逆日歩の発生を予測することは難しく、発生するコストも逆日歩が発生してみないとわかりません。ちなみに、SMBC日興証券では取引口座をもっている人を対象に、無料で「逆日歩予報」というツールを公開しているので、こうしたツールを活用するのもよいでしょう。

逆日歩が発生するのは一般信用取引の場合だけです。そのため、まずは制度信用取引から始めてみるのがよいでしょう。

信用取引は、リスクを抑えて始めよう

信用取引はリスクが高いというイメージがありますが、以下のような対策をとることで、リスクを抑えて信用取引を始めることが可能です。

・委託保証金は現金のみで運用する
委託保証金は、現金以外に保有している株式を充てられるとお話ししましたが、特に信用取引初心者は現金のみで運用することをお勧めします。
なぜなら、委託保証金に充当していた株式自体の株価が下がった場合にも、委託保証金維持率が下がり、追証が発生してしまうからです。

・二階建て取引をしない
二階建て取引とは、委託保証金としてA社の株式を充て、さらに信用取引でもA社の株式を購入することです。 二階建て取引を勧めない理由は、A社の株価が下がったときに損害にもレバレッジがかかってしまう恐れがあることです。

・委託保証金率は40%以上が理想
信用取引を開始する際、30万円を委託保証金として預ければ100万円の信用取引が可能です。
すると、100万円まで取引できると考え、活発に取引をする人が多いですが、例えば取引額を自分の中で75万円までと設定しておけば、委託保証金率は40%になります。
そうすれば、追証は発生しにくいですし、損失のリスクも抑えられます。

上記のように、リスクを抑えつつ信用取引にチャレンジしてくださいね。

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