資産運用を成功させる目的と手段の考えかた

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この記事を読んでいる方の中には、資産の大部分を銀行などに預けっぱなしでほったらかしにしている方や

「資産運用には興味があるけれども、何から手をつけていいのかわからない」
「資産運用はなにか怖い気がする」

このような方がいらっしゃるのではないでしょうか。 銀行への現預金のみを利用されている場合、現在の金利では効率的な資産形成にとって望ましいものではなくなってきています。

この記事では資産運用を始めるとき、皆さんに必ず考えてほしい「目的と手段の選びかた」について、私の経験から解説いたします。

何を実現したいか?を先に考える

最近は、政府も「貯蓄から投資へ」というスローガンをもとにいろいろな政策を行い、「個人型確定拠出年金(iDeCo)」や「つみたてNISA」というキーワードを見聞きするようになりました。 しかし初心者が何もわからないまま、手当たり次第に投資することは損をするリスクが大きく、危険です。

しかし、金融庁が6月初めに「老後に2000万円の資産が必要」という公表をしました。特に20~30代の方々が給料や年金、銀行への預金だけで老後や子どもの教育資金を確保することは難しく、資産運用の検討は必然となるでしょう。

ただ、資産運用の目的は人それぞれによって異なることも理解しなくてはいけません。年齢、職業、家族構成、年収、資産総額、やりたいことによって変わってきます

20代と90代の方では、残された人生の時間も必要なお金も異なりますから、当たり前といえば当たり前ですね。

資産運用の目的として以下のようなものが考えられます。

  • 老後資金
  • 結婚資金
  • マイホーム資金
  • 旅行資金
  • 教育資金
  • 起業・独立開業資金
  • アーリーリタイア・不労所得による生活

例として挙げましたが、皆さんそれぞれが「何を実現したいのか?」を先に考える必要があります。

なぜ運用の目的を立てるのか

「何を実現するために資産運用をするのか」目的を定める必要があると述べましたが、目的を決めずに資産運用を行おうとすると、リスクの高い金融商品に手を出し、元本を大きく失ってしまう恐れがあります

目的を達成するための手段として「株・投資信託・現預金・不動産投資・FX」などの運用方法を選択します。日本人が好んでいる「貯金=現預金」は手段であって目的ではありません。目的は、「必要な資金を必要な期限までに確保すること」です。

投資初心者はざっくりとしたものでいいので、まず目的(老後資金、教育資金、世界一周旅行費用など)を立てることをおすすめします。その目的にどうやってアプローチしていくかを考えて行動に移します。

目的を立てずに資産運用を行おうとして、たまたま目についたCMに引き寄せられ、いきなりマンション経営を始めたりすると大やけどするので注意が必要です。TVなどのマスメディアで取り上げられる株やFX、仮想通貨でもうかった人はごく一部で、実際は地味な作業をコツコツと続けるのが大部分の人の資産運用だと思います。「1年で資産を2倍にした」とか、「10倍株を見つけた」というセンセーショナルな話題が好まれ、「年利3%でコツコツ運用した」という地味な話題は取り上げられることが少なく、目立たないのが現状です。

目的の達成に向けた手段の選択

目的を立てたら、必要な額と運用期間を決めて、どうやったら達成できるか(手段)を検討します。

例えば、「30年で老後資金をためる」ことを目標にして長期的に株式や投資信託を用いて資産運用を行えば、途中でリーマンショックのような出来事が発生しても、運用を続けることでいずれ大きなリターンを得ることができるかもしれません。

逆に、「3年後にマイホームを購入する」とか「5年後に子どもが大学進学する」などの場合は、リスクがそれほど取れないので、預金や債券投資を行うケースが多いでしょう。 「失敗したときはあきらめる」と割り切れる目的、例えば「5年後に世界一周旅行へ出るなど」の場合は、ハイリスクハイリターンな投資をするというのもありだと思います。

私の資産運用の目的と手段

私の資産運用の目的は、

  • 「老後資金の確保」
  • 「子どもの教育資金」
  • 「月々の収入アップ」

という3つです。

1.老後資金の確保【長期的な目的】

まず、老後資金の確保が大きな目的です。目標は、私だけで最低4000万円は確保したいと考えています。老後は趣味の温泉や飲み歩きなどを少しは楽しみたいですからね。

老後の目的を達成する手段として、年金で足りない部分を個人型確定拠出年金(iDeCo)やつみたてNISA、個人年金保険で賄おうとしています。

iDeCoの魅力は、その節税効果です。掛け金全額が年末調整で所得控除の対象となり、運用成績に関係なく所得税や住民税に関わる支出を抑えられます。

私の場合は、iDeCoに加え、利回りが低い「個人年金保険」も運用することで将来的なリスクを下げ、同じく個人年金保険料控除などで節税効果を得ています。

iDeCoでどのくらい老後資金をためられるかというと、例えば30歳会社員(企業年金なし)がiDeCoの月額掛金を上限の2万3000円、年間27万6000円(2019年6月時点)で運用したと考えます。

この条件で年利5%×30年間運用した場合、60歳で1,875.4万円となり、iDeCoだけで話題の「老後資金2000万円」に近い金額を、理論上では確保できます。

また、iDeCoは自由に解約することができない不自由さがありますが、自制できない人にとって「強制的に老後資金を確保できる」点は、むしろメリットとして捉えることもできるでしょう。

「iDeCoか、つみたてNISAのどちらかがいいか」という質問も耳にします。両者とも長期的な老後資金形成のための制度ですが、私は両方を併用し、それぞれ枠をすべて使っています。iDeCoは途中解約ができないため、もしお金が必要になるライフイベントが発生すれば、途中で自由に売却できる「つみたてNISA」の投資信託を売ることで対処できます。

2.子どもの教育資金【中長期の目的】

次に、子どもの教育資金の確保です。目的は大学進学までの教育資金で、年間24万円を年利3%程度で18年運用し600万円程度確保したいと考えています。

この目的を達成するため、ジュニアNISA口座を開設、運用しています。私のボーナスから月2万円ほど投資信託を積み立てており、老後資金に比べ必要になる時期が近いという理由からリスクは低めに設定しています。

なぜジュニアNISAを選ぶのかというと、運用の目的別に口座を分けた方が、それぞれの達成状況を把握しやすく、リスク分散もできるからです。

また、子ども名義の口座だと非課税で運用できるメリットもあります。

お年玉や小遣いの一部を運用に回しながら、18歳を過ぎた時点で運用額を進学資金にして、口座の管理を子どもに委ねようと考えています。

万が一子どもが大学進学しなかったら、そのまま渡して子どもに自分で使い道を考えさせ自由に使わせるつもりです。ちなみに、口座を子ども名義にしておくことで、私の身体に何かあっても明確に子どもの資産として残る点も、ジュニアNISAで教育資金を確保するメリットの一つですね。

3.月々の収入アップ【長期の目的】

最後は、「毎月の収入を給料以外で5万円アップさせる目的」です。そのために、個別株やETFの配当金を定期的にもらうことで、給料以外の収入の確保を目指しています。

ETFは、

  • 信託報酬が安く低コストで運用できること
  • 株と同じように市場が開いている時間に自由に売買できる

というメリットがあります。

ただしETFの配当金を受け取る際には課税(所得税15.315%、住民税5%)の対象となります。投資効率だけで考えた場合に優れているのは「分配金のない投資信託」でしょう。

まとめると、課税されるが定期的に配当金をもらう「個別株・ETF」か、長期的に運用して大きな受取額を目指す「投資信託」か、目的や期間に応じて運用する手段も変わってきます。

私は分配金が出ない投資信託の積み立てと、分配金がもらえるETFを併用していますが、目標としては分配金で月5万円くらいもらえるようにするつもりです。

現在は配当金収入が月1万円程度なので、これを10年くらいかけて目標金額まで増やしていくことが、課題だと認識しています。

資産運用の勉強方法

どのように目的を達成するかの「手段」が決まったら、情報を集めたり整理したりして理解を深めましょう。自分の大切な資産ですので、面倒くさがらずに真剣に向き合う必要があります。

もうかる株の銘柄や元本保証で高利回りの商品は存在しません。逆にそういう話があって飛びつくと高確率で詐欺なので気をつけてください。

初心者にすすめる「はじめの1冊」

私の勉強方法としては、マネー情報紙や初心者向けの資産運用の本を1冊買ってしっかり内容を理解できるまで読むことにしています。一度運用の仕組みをつくってしまえば、年に数回メンテナンスするだけで勝手に回っていくようにすることも可能です。

投資の入門書として、TOPIX(東証株価指数)などの指数に連動する投資信託やETFでの運用をメインに行う私としては、以下の本をぜひ読んでいただきたいです。

名前 著者・出版
投資信託にだまされるな!本当に正しい投信の使い方 竹川 美奈子
ダイヤモンド社
投資信託選びでいちばん知りたいこと 朝倉 智也
ダイヤモンド社
10万円から始める投資信託入門―初心者のための買い方・売り方ガイド 稲葉 精三
日本経済新聞出版社
金融機関にだまされない! 「投資信託」で資産を3000万円貯める本 宝島社

資産運用の相談時は「他者の利益」を常に頭に入れておく

銀行や証券会社、投資用不動産会社、保険の代理店へ資産運用の相談をするときは、自分の運用目的や運用期間を常に照らし合わせることが大切です。

また話を聞いても理解できないときや、目的と合致しないときは契約を見送る慎重さをもってください。相手の目的はあなたが長期的に利益を得ることではなく、あなたに商品を買ってもらうことだからです。

ブログ主によっても目的はバラバラ

インターネットで情報を集める方法もあります。私も含めブログなどで運用手法を公開している方も多く、反対に他者のブログを参考にして自分の手法に取り入れることも行っています。

投資初心者が注意すべきは、ブログの内容をうのみにしないことです。投資の目的や期間は投資家=ブログ主によってバラバラなため、ここでも「自分の目的に合致しているか」をしっかり見極める必要があります。

この記事のまとめ

私が資産運用の目的を立てることが大事だというのは、投資先や投資手法を選ぶときに「目的に合致しているか、していないか」が判断基準になるからです。

資産運用の目的と運用期間が明らかになっていれば、1年で資産を2倍にするとか無茶な運用手法をとることがなくなります。

30年で目標金額を達成すると決めておけば、当然ですが1年で達成する必要はなくなります。欲を出しすぎると必ず痛い目を見るので注意しましょう。

資産運用は日々勉強&自分の欲との戦いです。

これから投資を始めようと思っているが何から手をつけていいかわからない、そんなときに当記事がこれから資産運用を始めようとする方の参考になれば幸いです。

執筆者 板橋のとあるインデックス投資家。
投資ブロガー
板橋のとあるインデックス投資家。
こんにちは。「板橋のとあるインデックス投資家。の日記」というブログの管理人をしている、板橋のとあるインデックス投資家。と申します。普段は会社員をしていますが、兼業投資家として日々資産運用に精を出して家族と暮らしています。

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