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株を売るタイミングを決める【いつ売るか】
株を売る理想のタイミングは「株を買った時点より株価が値上がりしているとき」でしょう。
株価が上がり続けるかぎり、獲得できる利益も増えますが、投資先の会社に以下のような兆候が出たときは、投資家が株を売る(株価が下がる)要素となるため、売却して利益を確定させるべきです。
売るタイミング1.投資先の業績が落ちた
投資先の業績がいいと、配当などのリターンを期待する投資家から人気が出て株が買われ、株価は上がります。
反対に業績が落ちると、株が売られる=株価が下がる要素となるため、継続して売上高が下がっている場合は、売却を検討しましょう。
売上高や損益などは「投資先のHPに掲載されている報告や決算短信・【会社四季報】に記載された四半期決算」などをチェックすれば確認できます。
売るタイミング2.投資先内部で問題が発生した
ニュースで見るような「不祥事・コンプライアンス違反」などの企業内で問題が起こった場合にも、大きく株価を下げる要素となるため、売却を検討するべきです。
ふだんから投資先の企業を取り巻く環境やニュースについて「この情報は投資先の株価を下げる要素か?」という視点に立てば、株価が下がる(損をする)前に売却することが可能です。
為替の変動があった
例えば日本の輸出産業に関連する銘柄へ投資していた場合、1ドルが100円のときと80円のときでは商品の値段が変わります。
400万円の商品は1ドル100円だと4万ドルですが、1ドル80円だと5万ドルです。
外国の商売相手には1ドル80円(円高)のとき、商品が売れにくくなります。
売上高の低下は、業績に直結するため、自分の投資先にとって不利な為替となる場合は、売却タイミングとして検討するべきでしょう。
チャート上で株価の傾向をチェックしておく
「移動平均線」とは、一定期間での株価の平均値を線で結ぶことで、株価変動の傾向(トレンド)を知ることができるデータです。
また、短期の移動平均線(赤い線)が長期の移動平均線(青い線)の上に抜けることを、株価上昇傾向への転換を示す「ゴールデンクロス」といいます。
では、上記のチャートにおける「売るタイミング」はいつなのでしょうか。
赤い移動平均線が青い移動平均線と交差して下に抜けたとき、その現象を「デッドクロス」といい、株価が下落傾向に転換していることを示します。
このように、半年間・1年間の値動きを示すチャートは、長期投資においても自分が買った銘柄の動向を知るにはうってつけのツールとなるため、株初心者は先に紹介した兆候とあわせて、売るタイミングについてチャートを利用し検討する必要があります。
「移動平均線」についての詳しい解説はこちら
売り方の違いは、注文方法にあり【いつ売るか】
株を売るときは、どのネット証券を利用していたとしても、PCや株アプリの注文画面から売り方(注文方法)の選択が必要です。
例えば上記チャートのように、買った株が投資期間内にゆっくりと上がっている[1]のタイミングで売却を考えたとしましょう。
そのときの注文方法には「成行注文・指値注文・逆指値注文」などの種類があり、それぞれ得られる結果も異なるため、各注文方法の特徴を知ったうえで最適な売り注文を選択する行動が、利益を出すために必要となります。
成行注文【今すぐ売る】
「買ったときより株が上がっているから、今すぐ売って利益を確定させたい」という人向きの注文方法です。
目に見えている株価[1]付近で売ることが可能なため、すぐに利益を確定させるためには、成行注文での売却がよいでしょう。
注意すべきは、買い手の注文数が自分の売り注文より少ない場合、思わぬ値段で取引が成立する場合があるため、次項で説明する板情報はあらかじめチェックしておきましょう。
指値注文【後で売る】
「この値段で売りたい」という株価をあらかじめ指定し、実際に株価が上がって買い手が出たときに自動で売る方法です。
[2]のように株価が上がれば正確な目標利益を出すことができますが、[3]のように予測に反して株価が下がり、買い手がいなくなると売買が成立しない(約定しない)どころか、万一そのまま株価が下がり続け、買ったときの株価を割り込むと損をするため「株価の予測はできないけど、これだけのもうけを出したい」と考える方にはおすすめできません。
逆指値注文【後で売る】
逆指値注文の基本的な考え方は指値注文と同じく「この値段で売りたい」という株価をあらかじめ指定する注文方法です。
逆指値注文では保有している株が値下がりしたときには[3]のように「利益が確定できる価格」で自動的に売り注文がかけられる、セーフティーネットともいえる手段です。
日中は別の仕事をしているなど、株式相場に張りついて株価のチェックができない方にとって便利な注文方法です。
OCO注文【後で売る】
OCO注文は指値注文と逆指値注文を同時に発注する方法です。
例えば上の図内[2][3]の価格でOCO注文をセットしたとき、株価がどちらかの価格に振れたら売り注文が自動的に発注されます。
OCO注文は、価格を決めれば相場を見なくても売却益の確保ができるという特徴をもっています。
もちろん、OCO注文で利益を出すためには、売り価格を適切に設定する必要があるため、取引に慣れないうちはおすすめできません。
株初心者は成行注文で取引の流れをつかんだ後、売却する指標(マイルール)とあわせてOCO注文の運用を検討しましょう。
マイルールの例「現在から+20%の株価上昇あるいは-10%の株価下落で売却注文」
なぜマイルールが必要かというと、投資家は保有している株が上がったとき、投資経験や銘柄を取り巻く状況・環境など自分なりの根拠をもったうえで「まだ上がるか、そろそろ下がるか」という予測を立て、売り注文を出します。
しかし、予測ができない株初心者の場合「もう少し上がってほしい、下がったらいやだ」という根拠のない感情を当てに発注する可能性があるため、投資家に比べて利益を確定できる確率が低くなります。
そのため感情に左右されずに行動できるマイルールの設定は、初心者が株を売るにあたって、とても大切な要素といえます。
板情報で株価をチェックしておく【いくらで売るか】
各証券会社の株アプリやPC上では、株価や注文内容とともに上記のような板情報が更新されています。
板情報は、「いくらで売りたいか」という売気配株数と「いくらで買いたいか」という買気配株数が随時更新されています。
上記の表のように売気配株数が多い状況だと「売りたい人が多い→株が売られると株価が下がる→売り時なのでは?」という予想が立てられます。
売却後に予想どおりに株価が下がった場合は「利益を確保できた」あるいは「損を未然に防げた」という結果につながるため、株初心者も板情報はチェックしておきましょう。
また、板情報に表示される注文は「指値注文」のみということに注意しなければなりません。
例えば大手投資家が自分の注文状況を他者へ悟られないよう、あえて成行注文で大量の売買注文をおこなった場合、株価が急激に変動することもあるため、板情報は株価動向を把握するための材料の一つとして捉えておくべきです。
株の保有数を計算に入れておく【どのくらい売るか】
株を売るときも単元株(上場企業なら100株)ごとの取引となるため、「何株売るか?」を慎重に決める必要があります。
特にネット証券での注文の場合は、入力ミスが莫大な損失を生むこともありうるので、初心者が株を売るときは、単位の入力を間違えないよう気をつけましょう。
手数料も視野に入れよう【どのくらい売るか】
株を売るときにも、株を買うときと同じく、証券会社に支払う手数料がかかります。
株を売って利益を確定させたいときは、取引手数料がかかることも計算に入れながら、どの銘柄の株式をどのくらい売るか、慎重に検討しましょう。
口座開設を検討している株初心者は、日々の売買コストを安く済ませるため、あらかじめ売買手数料を抑えられる証券会社を調べておきましょう。
初心者が信用取引をしてはいけない理由とは?【その他】
株を買うときと同じく、売るときも「現物取引」と「信用取引」の選択が可能です。
株を売るときの信用取引は「空売り」と呼ばれています。
空売りは「証券会社から株を借りて売り、売ったお金で再び株を買い戻し、証券会社に返す」一連の取引で、利益を出すためには、株を売ったときより安く買い戻す必要があります。
つまり、売った後の株価上昇=損失であり、株価の上限は青天井であるため、理論上は損失も青天井になってしまうことが空売りの最大のリスクです。
その他にも借りた株にかかる金利「貸株料」や株のレンタル料である「逆日歩」などの保有コストもかかるため、株初心者は「買った株を売る」現物取引を選択することが無難といえます。
「信用取引」についての詳しい解説はこちら
執行条件付注文ってどんな注文方法?【その他】
執行条件付注文とは、成行・指値・逆指値それぞれの注文種類に「いつ注文する・どんなときに注文する」といった執行条件を加える方法です。
寄付 | 前場・後場での取引開始時間=9時と12時半 |
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引け | 前場・後場での最後の売買=11時半と15時 |
ザラ場 | 前場・後場のうち寄付と引けの間 |
以下は、執行条件付注文の例です。
寄成 | 寄付にのみ成行注文が発注される |
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寄指 | 寄付にのみ指値注文が発注される |
引成 | 引けにのみ成行注文が発注される |
引指 | 引けにのみ指値注文が発注される |
不成 | ザラ場では指値注文を発注し、ザラ場で約定しなかった場合は成行注文に自動で注文が変更され、引けで執行される |
PCやスマホなど、株アプリの売買画面でも「寄成」のように執行条件が選択肢に表示されますが、投資行動に戦略や意図をもたない初心者のうちは、「なし」を選択するのが無難です。