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株とFXはどう違う?レバレッジ・税制面での比較と投資信託との違い
株とFXはどちらも「お金を増やせそう」といった漠然としたイメージがあるのではないでしょうか。
また、取り引きのときにチャートを見たり、世界経済の動きによって利益が左右されたり、似たような雰囲気がします。
さらに、株と間違いやすい商品に投資信託というのもあります。それぞれ具体的にどんな違いがあるのでしょうか。
株とFX、ならびに投資信託の値動きや取引時間を一覧表で比較してみましょう。
金融商品 | 株 | FX | 投資信託 |
---|---|---|---|
投資対象(数) | 企業(3700以上) | 通貨(16種類) | 株・債券・不動産(2600本以上) |
レバレッジ | 約3.3倍 (信用取引の場合) |
約25倍 | なし(※) |
値動き | 円単位 | 銭単位 | 円単位 |
取引時間 | 平日9:00~11:30 /12:30~15:00 | 24時間 | 証券会社による |
インカムゲインと金利 | 配当金 | スワップポイント | 分配金 |
値動きの要因 | 企業業績 | 金融政策など | 金利や景気 |
(※)一部の上場投信はあり
ほかにわかりやすい大きな違いとして挙げられるのは、株には株主優待がありFXや投資信託にはないことです。
それではここから順番に詳しく説明していきます。
投資対象・値動き・取引時間・レバレッジ・インカムゲインを比較
株とFX、投資信託をそれぞれの投資対象、値動き、取引時間、レバレッジ、インカムゲインに着目し比較します。
投資対象
株の投資対象は、企業です。
2020年3月時点において、日本取引所に上場している企業は3,700社以上です。
FXの投資対象は通貨です。取り引きできる種類は、16種類です。
FXでは、2つの国の通貨を売買して利益を出す仕組みです。
売買する2国の通貨の組み合わせを通貨ペアと呼びます。
例えば円とドルの売買で利益を出す場合、円とドルが通貨ペアとなるわけです。通貨ペアの数はFX会社により異なります。
レバレッジ
レバレッジとは、持っているお金よりも大きい金額で取り引きできる仕組み、及びその資金効率のことです。
小さな力で大きなものを動かせる、テコの仕組みをイメージしてもらえばわかりやすでしょう。
レバレッジは株よりFXの方が大きいです。
株でレバレッジが使えるのは信用取引という取り引きの種類ですが、株の経験がないうちは専用の口座は開設できず、現物取引のみでの取り引きから始めます。
信用取引では、現金や株を担保にお金を借りて、持っているお金より多くの株を買えます。取引できる金額は自己資金の最大3.3倍までです。
信用取引で借りたお金は返済する義務があり、返済期限は6ヶ月です。
最近では返済期限が無期限でお金を借りられる無期限信用取引もあり、期限を気にせず取り引きしたい人に支持されています。
レバレッジのきく取り引きでは、口座に入れている金額以上の損失が出た場合、追加でお金を支払わなければなりません。
FXでは、一定の損失が出た場合これ以上損失が出ないよう強制的に取り引きを終わらせる「ロスカット」というルールを設けています。
値動き
値動きを比べると株の方がFXより変動が激しいです。
▲引用:Yahoo!ファイナンス
上の図を参照すると、LINEの株は9時~15時の間に、5,170円~5,210円の範囲で上昇、下落し変動しているのがわかるでしょう。
過去の記録を参照すると、2012年~2013年にかけての1年間で、ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社の株価は1年間で100倍になりました。
IPO銘柄も公募価格の2倍3倍になることがあり、1年に10倍になるテンバガーと呼ばれる株も有名です。
一方FXの値動きの幅は、株と比べると小さくなります。
▲引用:Yahoo!ファイナンス
上図の値動きを参照すると、107.1円あたりから107.9円くらいまでの間で銭単位で上昇、下落を繰り返し推移しています。
取引時間
取引時間を比べると、株は制限がありますがFXにはなく24時間取引可能です。
株式取引の時間は、東京証券取引所など株式市場が開いている時間帯で、前場(ぜんば)の9:00~11:30と後場(ごば)の12:30~15:00に分かれています。
FXの場合、日本の市場が閉まっていても世界各国で取り引きがおこなわれるため、24時間取り引きできます。
取引時間で比べるとFXの方が自由度が高いといえるでしょう。
インカムゲインの金利と受け取るタイミング
株とFXにはそれぞれ、売買をしなくても利益を得られる仕組みがあります。
売買取引で得られる収入をキャピタルゲインといいますが、保有するだけで定期的または不定期的に得られる収入をインカムゲインといいます。
それぞれのインカムゲインは、株の場合が配当金で、FXの場合はスワップポイントです。
- 株の配当金とは
- 企業が株主に渡す利益の一部です。事業がうまくいき利益が出た時に一部を株主に配当という形で渡します。
- FXのスワップポイントとは
-
FXのスワップポイントとは日本と外国の適用金利の違いで生じる利益や損失です。
FXでは外国の為替を扱いその国の金利が適用されます。その国と日本の金利差を調整するために設定されます。
外国と日本の金利差がプラスになれば利益として受け取れて、マイナスになれば支払う必要があります。
株の配当金 | FXのスワップポイント | |
---|---|---|
もらえる頻度 | 年に1、2回 | 毎日 |
金利 | 1%~2% | 5%~20%以上 |
損失 | なし | あり |
スワップポイントで注意が必要なのは、損失が出るおそれです。
高金利のドルを売り、低金利の円を買った場合は、差額分の金利を支払わなければなりません。
利益を受け取るタイミングも異なり、FXのスワップポイントは毎日もらえますが株の配当金は年1、2回に分けてもらいます。
配当金の具体例として、建設業「タマホーム」の配当金は、2019年5月、1株あたり53円です。ですから、100株購入すると、株を保有しているだけで5,300円の利益が得られます。
スワップポイントの具体例として現在、日本の金利が0.1%であるのに対しトルコリラの金利は24%です。 金利差は24%-0.1%で23.9%となります。トルコリラを買い日本円で売れば差額で高額な利益を得られるでしょう。
配当金やスワップポイントを再投資に回す投資家もいるようです。 株よりレバレッジがきくFXでは金利差で得た利益を投資資金に回しさらに大きな利益を狙える点も魅力的でしょう。
株とFXの税制面での違い
株とFXの税制面についてはどうでしょうか。
得た利益に対し約20%の税金がかかり確定申告によって納税する義務がある点では株もFXも同じです。
- 確定申告が不要となる条件
- 給与の年間収入金額が2,000万円以下でかつ、給与の支払いを1ヶ所のみから受けている、かつ給与所得、退職所得以外の所得金額の合計が20万円以下である
しかし対応する口座や利便性の面で異なる点があります。
株の特定口座なら証券会社が手続きをしてくれる
証券会社には確定申告を証券会社が代わりにやってくれる特定口座という口座があります。源泉徴収のある特定口座では、取り引きで利益が出るたびに源泉徴収され、証券会社が1年分をまとめて納税する仕組みです。
一方FXでは、株でいう特定口座のような口座がないので、原則として自ら確定申告する必要があります。
株の税金についてくわしくはこちらの記事へ
「株の利益にかかる税金とは?確定申告の方法を口座種類別に解説」
株はNISA口座に対応しFXは対応しない
株とFXの税金に関連する違いとして、NISA口座があります。
NISAとは税制優遇制度で、株式や投資信託などの金融商品で得た利益に対してかかる約20%の税金が元本120万円まで非課税にしてもらえる制度です。
NISA口座であれば、株式投資では税制面のメリットが受けられるでしょう。
投資信託と株・FXとの違い
次に、株と似ている金融商品である投資信託と株・FXの違いを簡単に説明します。
投資信託の投資対象は多い
投資信託とは、株や不動産、債券などの商品をまとめてパッケージにして運用している商品のことで、パッケージの中身によって積極的に利益を取りに行くのか、安定・長期的に増やしていくのかなどの性格が異なります。
取り扱う数は証券会社によって差がありますが、例えばSBI証券の投資信託の取り扱い本数は2600本以上です。
株だけのものもありますが、国内株と海外株などがセットになったものもあり、1つの投資信託でさまざまな株に投資できます。
レバレッジはFX、株より小さめ
株やFXと比べ投資信託の資金効率は低いですが、投資信託にもレバレッジ型の銘柄があります。
通常の投資信託は日経平均株価の指標に連動する仕組みです。レバレッジ型の投資信託は上場投資信託(ETF)とよばれ、株などと同じように市場で取り引きされます。
この上場投資信託が通常の株価の2倍の幅で値動きするので、 株価が上がったときにより大きな利益が得られる 仕組みです。
値動きはFXより大きく株より小さめ
投資信託の値動きは商品によって差がありますが、全体的に株式投資に比べれば小さく、FX投資に比べれば大きい傾向にあります。
投資信託の値動きはファンドマネージャーによる運用が上手くいってるかどうかで左右されます。他にも政治や経済状況など値動きの要因はさまざまです。
国内株式インデックス型の商品で日経平均株価連動型の場合は、日経平均株価とほぼ同じように値動きします。
一方、国が発行している債券を投資対象とする国内債券型の投資信託は、値動きが小さいのが特徴です。
投資信託の取引時間は24時間取引もあり
投資信託の取引時間は、商品によって注文が締め切られる時間に差があります。
設定されるルールとしてよく見られるのは下記の2つです。
- 24時間取引可能であるが、15時以降は翌営業日扱いとなる
- ブル・ベア型の商品は、当日の注文締切時間が14:30で通常より早い
他にも証券会社によって異なるルールがあるので確認しておきましょう。
※ただし、メンテナンス中はサービス停止の場合あり。
※注文締切時間までの注文は当日注文、注文締切時間以降の注文は翌営業日注文として受付。土日(祝)は終日翌営業日注文として受付。
分配金と配当金を「再投資」で比較
投信信託においてインカムゲインとなるのは分配金です。
株にも似たような仕組みとして「配当金」というものがありますが、投信信託の分配金は運用会社が支払い、株式投資の配当金は株式を発行した企業が支払います。
投信信託と株式投資をインカムゲインで比較する場合、運用成績に期待したいなら投信信託、企業の成長に期待したいなら株式投資と判断してもいいでしょう。
分配金の支払われるタイミングは投信信託によって異なりますが、毎月、半年、1年が目安です。FXのように毎日ではありませんが、株式投資の配当金よりは頻繁にもらえます。
ではインカムゲインによる「再投資」の手法について、投信信託とFXを比較してみましょう。
FXでは、スワップポイントで得た利益を再投資にまわし、レバレッジをきかせ短期間で大きな利益を狙います。
一方、投資信託では分配金を再投資に回すのは、中長期に資産を大きくする場合です。
分配金は、運用益から支払われる普通分配金と、元本を切り崩して支払われる特別分配金があり特別分配金の場合は、元本の払い戻しとみなされるため非課税です。
株と投資信託については、同じ口座で売買できます。ですから、口座を開設後、株にするのか投資信託にするのか検討してもよいでしょう。
初心者に向く投資手法は株とFXのどっち?
株とFXの違いがわかったところで、これから投資を始めたい初心者の方に向いているのは株とFXのどちらなのか、考えてみましょう。
株式投資が向いている人
例えばいつも買っている商品や、利用しているサービスを「いいな」と感じていて、企業を応援したいという方には、株投資がいいでしょう。
また、短期的な売買で値上がり益を狙うのが難しいと感じている方には、株主優待や配当がもらえて長期的に投資できる株式投資が向いているでしょう。
利益を上げるには企業の業績や財務状況の勉強が必要となりますが、経済情勢や世の中の動きに関心を持つようになれば、それもまた楽しくなります。
FX投資が向いている人
世界の為替の動きやマクロ経済に興味があり、短期間で利益を狙いたい人にはFX投資が向いています。
「ハイリスクハイリターンでいいので資金効率が高い取り引きがしたい」という方に向いているでしょう。
少額投資や夜間取引できる証券会社
「株式投資に興味があるけどFXのように少ない資金で始められるかな…」
「株主優待など魅力的だけど、日中忙しいからFXじゃないと無理かも」
株式投資を始めたくてもFXと比べたとき、必要な資金や取引時間がネックに感じる人もいるでしょう。
しかし今は少ない資金で始められ夜間取引も可能な証券会社があるので安心です。
一般的な株式取引は100株単位から購入できるシステムですが、単元未満株であれば1株から売買できます。
単元未満株の場合、必要な資金は数百円から数千円程度です。また単元未満株であっても、保有株数に応じて配当金を受け取れる場合があります。
少額の資金なので分散投資ができたり、単元未満株を少しずつ買って単元株にしたりできる点も魅力的でしょう。
またPTSサービスがあるネット証券では、夜間取引が可能です。PTSサービスがなくても、株の注文自体は24時間好きなときにできます。
少額投資が可能で、夜間取引できる証券会社を3社紹介します。
SBI証券
SBI証券の単元未満株(S株)は単元株同様に株主権があり、配当金や株式分割の割当も保有株数に応じて正規配分される仕組みです。
ただし議決権はありません。
SBI証券の夜間取引(PTS)の時間は17:00~23:59です。PTSでは、「取引所」の取引時間外でも世界中のニュースを見ながらリアルタイムで取引できます。
SBI証券の単元未満株・取り扱い銘柄
- 東証(1部・2部・マザーズ・JASDAQ)の上場銘柄:買付・売却ともに可
- 名古屋証券取引所(1部/2部/セントレックス)、福岡証券取引所(Q-Board含む)、札幌証券取引所(アンビシャス含む)の上場銘柄:売却のみ可
※SBI証券の単元未満株で取引可能銘柄は個別銘柄株価詳細画面に「単元未満株(S株取扱)」と表示されます。
少額投資の手法として、他にもSBI証券の投資信託なら100円から始められます。
SBIネオモバイル証券
上記したSBI証券のアプリ版、SBIネオモバイル証券も少額投資と夜間取引が可能です。
Tポイントを使って株の購入が可能です。SBI証券同様、1株単位(単元未満株)で買えるため500円玉ワンコインで投資を始められます。
単元未満株であれば、24時間いつでも注文を入力できるので忙しい人にもおすすめです。市場への発注回数は1日2度と決まっています。
SBIネオモバイル証券の単元未満株、取り扱い銘柄
- 東京証券取引所(1部/2部/マザーズ/JASDAQ)の上場銘柄:買付・売却ともに可
- 名古屋証券取引所(1部/2部/セントレックス)、福岡証券取引所(Q-Board含む)、札幌証券取引所(アンビシャス含む)の上場銘柄:売却のみ可
LINE証券
LINE証券は、スマートフォンと数百円を用意すれば、投資を始められます。
1株からでも配当金をもらえる点もメリットですね。
いつもLINEするのと同じ感覚で、口座開設も取り引きの操作も簡単で、LINEPayも使えて入金もシンプルなステップでできます。
また、単元未満株の取り扱いがあるため1株数百円から購入できます。
取引時間は、平日夜21時まで取り引きできるのも嬉しいポイントです。
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