目次
株価が下がる原因
株の売り手が買い手よりも多い場合、株価は下落します。
株が下落する要因にはいくつかあるため、主なものをピックアップしました。
株価が下がる「9つ」の要因 |
---|
1.企業の業績や今後の見通しが悪化した場合
企業の決算で、売上・利益や今後の見通しの悪化が発表された場合、見切りをつけて株を売る株主が多くなります。
数年ぶりの赤字などの業績悪化が決算で発表された場合、株価の下落に注意しましょう。
2.証券会社が予想株価や投資判断を引下げた場合
証券会社のアナリストは1つ1つの株に予想株価を計算し、「買い」「売り」の投資判断を公表しています。
企業の業績悪化やライバル企業の攻勢などを理由に、株の予想価格や投資判断が引き下げられた場合、株主の売りが強くなり、株価が下落することがあります。
3.配当を減らした場合
株主にとって大事な収益源の配当が減らされれば、投資家の株を売る動きは活発になります。
「配当を維持できないほど会社の業績が悪化している」と見られるからです。
決算発表では、業績だけでなく配当が減らされていないかも確認しましょう。
4.業界全体のビジネス環境が変わった場合
業界全体のビジネス環境が変わって、業績の悪化が見込まれる場合も、株価の下落が起こります。
例えば、アメリカで日本車に対する関税が引き上げられた場合、販売台数が落ち込むため、自動車メーカー全般の株が売られます。
日々のニュースが投資した企業にどのような影響を与えるか調べておきましょう。
5.景気が悪化した場合
リーマンショックなどの大規模な景気の悪化が起こる直前には、既に株価はピークから下落している場合が多いです。
また、不況が到来してから数年のあいだは株価が低迷する恐れがあります。
「景気後退入りした」というニュースは不況の到来の知らせですので、今後の株式市場全体の低迷に注意が必要です。
6.大きな災害や戦争で社会が不安定化した場合
大きな災害や戦争で社会が不安定化した場合、国や特定の地域の経済が悪化し、株価が低迷する場合があります。
まずはご自身の身の安全を確保の上、災害や戦争が経済にどんな影響を与えているか、経済指標や企業の決算で確認をしましょう。
7.金利が上がった場合
中央銀行が金利を上げて景気の加熱を抑えられると、株価は下がります。
金利を上げても、直後はまだ景気が良いので株価も上昇を続けることが多いのですが、景気の鈍化が見えると株価はピークを迎えて下落に転じます。
景気の拡大ペースが落ちていないか、GDPや雇用統計などの経済指標をチェックしましょう。
8.為替が変動した時
輸出企業の場合、通貨高になると海外の売上が減ってしまうため、株が下がります。
また輸入企業の場合は、通貨安になると原材料が高くつくので、株が下がります。
投資している企業が、輸出・輸入どちらのタイプの企業かを知り、為替にも気を配りましょう。
9.他国の影響
機関投資家や個人投資家含め、投資は世界規模で行われています。
米国・中国・EU・日本のいずれかの株式市場の急落を受けて他の市場も下落する可能性も考慮しなくてはいけません。
「リーマンショック」や「ギリシャ債務危機」などインパクトが大きい出来事は、投資している企業や国に一見関係ない出来事だったとしても、株価が世界中で一斉に売られることがあります。
株価が下がると企業、投資家はどうなるのか?
株価の下落によって企業や投資家にどのような影響が出るのか考えてみましょう。
株価が下落した時の企業への影響
- 調達できる資金が少なくなる
- 企業買収のターゲットになる恐れがある
企業が株を追加発行して資金を調達する場合、株価が下落していれば当然調達できる資金が少なくなります。
下落や上昇を繰り返す日々の変動の影響はほとんど受けませんが、下落を続けていると株を売りたい投資家が増え、さらなる下落を招きます。
株価が下がりすぎると、企業買収のターゲットになるかもしれません。
つまり、株価の長期的な下落は企業にとって大きな損失といえます。
株価が下落した時の投資家への影響
- 保有している株の評価額が下がってしまう。
- 買いたい株がある場合は底値で入手できる場合がある。
投資家にとって株価の下落は、悪い影響だけを与えるものではありません。
保有している株の評価額が下がることはデメリットですが、これから購入予定の銘柄の株価が下がっている場合、底値で入手できるメリットを得る場合があります。
株価下落タイミングの予想は困難
もしも、株価の下落するタイミングを当てることができれば、下落する前に株を売却し、下落した後に買いたい株を買うことができるので、売買益を取得できそうに見えます。
しかし、株価の下落のタイミングを投資や経済のプロでも困難です。
景気後退を前年に予想できた専門家はわずか数%
アメリカ中央銀行FRBの調査では、63カ国22年分に起こった153回の不況を調べた結果、経済専門家が前年4月の段階で翌年の不況を予想できた確率はわずか3%だったと言います。
前年10月の段階で、経済専門家が翌年の不況を予想できた確率もたった9%でした。
これは経済のプロでも大きな景気後退や株の下落を予想するのが難しいことを物語っています。
株価が下落した時の対応策
株価が下落するタイミングを予想できないなら、いずれ株価の下落の影響を受けることを見越した対応策が必要です。
対応策は投資スタンスによって変わります。
長期投資であれば、ある程度の株価下落は気にしない。
20年、30年の長期間をかけて株で資産を作っていきたいと考えている場合、1年間に数回訪れる10%前後の株価下落や、もっと大きな下落でも許容範囲内なら売らずに株を保有する対応策が考えられます。
長年成長をしている企業や利益を出している会社を選んでいれば
短期的には下落しても株価は緩やかに上昇するというのが、長期投資家の視点です。
長期投資家によっては、長期的に安定な会社を見つけたら、「リーマンショック級の大きな下落でも株は売らない」と決めている人もいます。
長期間、株を保有するために大切なことは以下の2点です。
- 長年保有できる銘柄を選択すること。(例:生活に欠かせない商品を提供する企業、自分がよく知っている業界で長期的な成長が見込める企業など)
- 「何%までは下落しても売らない」など許容できる下落幅のルールを決めておくこと。
中期的な投資であれば、景気を見ながら売却しても良い
長期投資家ほど長い期間株を保有していなくとも、数ヶ月から数年単位で売買する中期投資家であれば、景気の好調・不調を見ながら売買しても良いです。
景気後退の時期を予想するのはプロでも難しいですが、10年ほどの周期で訪れる大きな景気の波の中で、今の経済が好景気に向かっているのか、不景気に向かいつつあるかを判断することはそれほど難しくありません。
不景気に向かいつつあるのなら早めに売却して投資を控えめにする考えを持っておきましょう。
例えば、サブプライムローン問題がメディアで大きく取り上げられたのは住宅価格が下落を始めた2007年夏、米国が景気後退入りしたのは2007年12月でした。
景気後退入りのニュースを受けて投資を控えめにしていれば、2008年9月のリーマンショックの株価下落のダメージは軽減できたことになります。
投資でいちばん重要な考え方は利益を目指すことではなく、大きく損をしないことを目指す運用です。
まずは自分の大切な資産をしっかりと守った上で、投資の経験を積みながら株の引き上げ時期や、景気の判断についての精度を上げるように取り組んでみましょう。