株初心者でも簡単!? ETF(上場投資信託)の3つの魅力とは?

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人生100年時代を迎える中で、豊かな将来を実現させるために資産運用の必要性が高まっています。しかし、さまざまな金融商品がある中で、どれを選べばいいのか迷っているという人も多いのではないでしょうか。

そんな株の初心者が選択肢に入れたい金融商品が日経平均株価やNYダウなどの指数(指標)に投資する「ETF」です。指数はテレビやネットなどのニュースでチェックできるため、「投資先の値動きがわかりやすい」ことが特徴です。

この記事では「中期ではリスクを減らし・長期ではコストを減らせるETF」のメリットやデメリット、初心者にもわかりやすい銘柄をご紹介します。

ETFとは

ETF
Exchange Traded Fundの略で「上場投資信託」のこと。日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)など特定の指数データに連動することを目指す投資信託。

ETFと株式投資との共通点は「取引時間中にいつでも売買できること」「値動きがリアルタイムでわかること」です。
ETFならではの魅力は、商品そのものが分散投資効果をもっているので、例えば株を単独で保有するよりは少ないリスクで運用可能な点です。

投資信託との共通点は「少額で分散投資が可能なこと」です。
投資信託でも日経平均などの指数に分散投資できる商品(インデックスファンド)を取り扱っていますが、ETFは信託報酬=保有コストが投資信託より安いことと、取引時間中に株式のようにいつでも売買できる側面から、長期保有を前提としたときでも「指数の急落など、何かあればいつでも売れる」という強みをもっています。

ETF 投資信託 株式
購入場所 証券会社 証券会社、銀行など 証券会社
上場・非上場 上場 非上場 上場
取得価格 リアルタイム価格 (市場価格) 1日1回算出される基準価額 リアルタイム価格 (市場価格)
銘柄数 230前後 6,000以上 3,500前後
手数料 売買手数料あり
信託報酬あり(安い)
購入手数料あり
信託報酬あり(高い)
売買手数料あり
信託報酬なし
最低投資金額 数万円~ 100円~ 数万円、数十万円~
分配金・配当・株主優待 分配金 分配金 配当金・株主優待

ETFの銘柄数は229銘柄(2019年5月現在)。
連動する指数は株式だけでなく、REIT(不動産投資信託)、債券、コモディティ(商品)などさまざまです。

投資先も日本だけでなく海外に広がっています(ETFの種類については後ほど詳しく解説します)。

出典:東京証券取引所

ETFのメリットは少額で分散投資できるなど3つ

ETFが投資初心者に向いている理由は、おもに次の3つです。

  1. 少額で簡単に分散投資できる
  2. 保有コスト(信託報酬)が安いので長期投資に有利
  3. 市場でいつでも売買できて値動きがわかりやすい

1.少額で簡単に分散投資できる

ETFはあらかじめ決まった指数に連動することを目指す投資信託です。

例えば、通常の株式投資でTOPIX(東証株価指数)に連動する株式投資をしようとすると、約2,100の対象銘柄をそれぞれ自分で買う必要があるため、数十億円のまとまったお金が必要になります。

しかし、TOPIXに連動するETFの銘柄「TOPIX連動型上場投資信託(1306)」を購入すれば、最低2万円程度の購入で、株価指数に連動した効果を得られます。つまり、ETFの銘柄を保有するだけで、市場を構成している何千もの銘柄に分散投資しているのと同じ効果が期待できるのです。

また、ETF(TOPIX連動型)の指数は約2,100銘柄の平均値です。一つの銘柄の株価が大きく下がっても、他の銘柄の株価が上昇するなどして損失を限定させるため、少額でリスクの少ない分散投資ができるETFは初心者向きだといえます。

2.保有コスト(信託報酬)が安いので長期投資に有利

ETFの売買には「売買コスト(売買委託手数料)」、ETFの保有には「保有コスト(信託報酬)」がかかります。

売買コストは、株式と同じ手数料です。ネット証券の手数料は昔に比べ下がってきているので、負担は軽くなりました。例えば、以下のネット証券では10万円までの売買注文に対する手数料が無料です。

ETF全銘柄(229銘柄)の中で10万円を超えるのは、10銘柄だけです(2019年5月現在)。上記の3社を利用すれば、9割以上の銘柄で手数料がかかりません

ただ、ETFは保有コストである「信託報酬」がかかります。

信託報酬
ETFを管理・運用してもらうための経費で、保有期間中に投資家が支払い続けるコスト。

この信託報酬は、通常の投資信託にもかかります。投資信託は、販売会社(証券会社や銀行)、受託会社(信託銀行)、運用会社の3社に対して投資家が信託報酬を支払う必要があります。

しかし、ETFの信託報酬は販売会社に支払う必要がないので、通常の投資信託よりも信託報酬が安い傾向にあります。

長期投資を考えた場合、保有コストである信託報酬を意識する必要があります。信託報酬が安ければ、それだけ運用利回りが上がる効果があります。

「買う銘柄は決めており、2~3年以上は保有する」という方針をもっている初心者にとって、信託報酬が安いETFは、投資信託よりも長期投資に向いた商品といえるでしょう。

3.市場でいつでも売買できて値動きがわかりやすい

通常の投資信託は、1日に一度算出される基準価額での売買のみとなり、リアルタイムで値動きの動向はつかめません。

例えば海外銘柄を売却(解約)する際、注文から約定まで中1営業日かかることもあり、その間に大きな値動きがあった場合、想定していた値段よりも安く解約してしまうことがあります。

ETFは通常の株式と同様、ネット証券などで簡単に現在の価格を確認することができます。特に日経平均など国内を代表する指数の場合はテレビでも取り上げられており、その動向が把握しやすいです。
またETFは東京証券取引所に上場しているので、取引時間中であれば株式と同じ取引方法で、いつでも売買可能です。

分散投資の効果をもつ指数に投資することで、個別銘柄の値動きで損をするリスクを減らしながら、指数の動向をテレビ・スマホなどでチェックしたうえで好きなときに売買できるETFは、「常に値動きを確認する時間がない・個別の株をあまり知らない」初心者の方でも始めやすいといえます。

まとめるとETFは「中期取引においてはリスクを減らし・長期保有の観点ではコストを減らすこと」が魅力で、株式と投資信託それぞれの魅力をあわせもっています。そのためETFは投資資金を抑えたい初心者でも、始めやすい商品だといえるのです。

ETFのデメリットは上場廃止や繰上償還の恐れがあること

それでは、ETFのデメリットについても確認しておきましょう。ETFのデメリットは大きく分けて2つあります。

  1. 通常の投資信託よりも最低購入金額が高い
  2. 上場廃止や繰上償還の恐れがある

1.通常の投資信託よりも最低購入金額が高い

ETFは約80%の銘柄が3万円以下で買えるので、最低でも100株単位で購入が必要な株式投資より少額で始めることができます。ただし、投資信託であれば100円で購入できるネット証券もあります。また、投資信託は1万円や5万円など金額指定で買うこともできますが、ETFは口数単位での購入となります。

例えば、「毎月5,000円ずつ買いたい」など、費用を固定する場合は、ETFよりも投資信託の方が便利です。

2.上場廃止や繰上償還の恐れ

株式の場合、企業が不祥事を起こしたり、赤字決算が続いたりすると「上場廃止」になることがあります。ETFの場合は「ファンドの純資産額が減って、指数に連動する運用ができない」と判断された場合などに上場廃止が決まり、該当の銘柄は廃止までの1カ月間「整理銘柄」として売買され、その後ETFが売買できなくなってしまいます。

ただし、ETFは上場廃止となった後に銘柄をもっていても、信託終了日の基準価格に応じて買い取ってもらうことができる(信託終了日から10年間)ため、株とは違い価値が失われることはありませんが、買い取り手続きに手間がかかるため、上場廃止を決めた銘柄を持っている場合は、整理銘柄への指定から1ヶ月の間に取引を終了させましょう。

ETFは投資信託の一種なので、「繰上償還」の可能性もあります。繰上償還とは、投資信託の信託期間が終了する前に運用を終了することです。信託期間が決まっていないものでも運用を終了することがあります。

株式の場合は上場廃止になると紙くず同然になりますが、ETFの上場廃止は繰上償還と同じになります。繰上償還とは、投資信託が運用を中止し、ファンドの保有者に保有口数に応じて信託財産(投資信託が保有している資産)が返還されることです。

売買が少なくて純資産総額が増えない銘柄が、上場廃止や繰上償還になりやすい傾向にあります。ですから、保有するETFは、売買や純資産総額が多い銘柄を選ぶようにしましょう。

ETFの種類~初心者におすすめの銘柄は

2019年5月時点で、229銘柄のETFが東京証券取引所に上場しています。

通常の投資信託(約6,000銘柄)に比べると少ないものの、どの銘柄を選べばいいか迷う人も多いでしょう。そこで初心者でも取引しやすく、人気のあるETFを紹介します

国内株ETF

  • 初~中級者向き
  • 日本株の代表的な指数に連動している
  • 銘柄数が豊富で売買も活発

国内ETFとは、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)など日本を代表する株価指数に連動するETFです。国内の株価指数ならニュースなどで目にする機会が多いので、初心者にもわかりやすいのではないでしょうか。

日経平均株価やTOPIXに連動するETFは日銀や銀行も購入するので、10兆円を超える規模のETFもあります。投資信託(通常の投資信託とETF)全体の純資産ランキングでも、ETFが上位を独占しています。以下の銘柄一覧をご覧ください。

出典:モーニングスター

上位10銘柄の中で、通常の投資信託は9位のピクテ・グローバル・インカム株式だけで、その他はETFが占めています。 それでは、代表的な銘柄を見ていきましょう。

1306 TOPIX連動型上場投資信託

出典:ヤフーファイナンス

終値 売買単位 信託報酬 運用会社
1,619円(2019/05/09) 10口 0.1188% 野村アセットマネジメント

わが国を代表する株価指数であるTOPIX(東証株価指数)に連動することを目指すETFです。純資産額は10兆円を超え、国内最大規模のETFです。

ETFの中でも純資産額・売買高ともにトップクラスなので、流動性リスク(取引できなくなるリスク)を心配する必要はありません。

1321 日経225連動型上場投資信託

出典:ヤフーファイナンス

終値 売買単位 信託報酬 運用会社
22,270円(2019/05/09) 1口 0.2376% 野村アセットマネジメント

株価指数に関してはTOPIXよりも日経平均株価の方が有名です。日経平均株価は、日本を代表する225銘柄で構成されています。「日経平均株価を買いたい」という人は、この銘柄が適しています。

2516 東証マザーズETF

出典:ヤフーファイナンス

終値 売買単位 信託報酬 運用会社
697円(2019/05/09) 10口 0.54% シンプレクス・アセット・マネジメント

「新興市場の株は値動きが大きいので怖い」という人は、マザーズ指数に連動するETFを取引してみてはどうでしょうか。

マザーズ市場とは、新興・成長企業を中心とした株式市場です。バイオやゲーム株などが多く、短期間で2~3倍になる銘柄も珍しくありません。しかし、短期で大幅に下落する銘柄もあるので、リスクが高い市場です。

個別銘柄ではリスクが高いので、マザーズ市場に連動するETFで新興市場に投資する方法がおすすめです。また、日経平均株価やTOPIXなどのETFとあわせて保有することで、より日本株に幅広く投資することが可能になります。

外国株ETF(海外ETF)

  • 初~上級者向き
  • S&P500など米国株指数に連動するETFに注目
  • 上海(中国)株など新興国株式にも投資可能

海外証券取引所が取り扱う、外国株指数に連動するETFも数多く上場しています。米国ETFなど先進国のETFは値動きが比較的緩やかなので、投資に慣れていない初心者に向いています。一方、新興国のETFは値動きが荒いので中~上級者向きになります。

ただ、出来高が多いのは米国株や中国株などに連動する銘柄です。売買高が少ない銘柄は、流動性リスクがあるので注意が必要です。

1557 SPDR S&P500ETF

出典:ヤフーファイナンス

終値 売買単位 信託報酬 運用会社
31,550円(2019/05/09) 1口 0.0945% ステート・ストリート

米国を代表する株価指数「S&P500指数」の円換算値と連動した投資成果を目指すETFです。米国の株価指数ではNYダウが有名ですが、米国株全体をカバーしているのはこのETFです。

1309 上海株式指数ETF

出典:ヤフーファイナンス

終値 売買単位 信託報酬 運用会社
31,550円(2019/05/09) 1口 0.8424% 野村アセットマネジメント

中国A株市場の株価指数である「上証50指数」の円換算値と連動した投資効果を目指すETFです。上証50指数は、上海証券取引所に上場するA株の中から規模や流動性の高い50銘柄で構成されています。

キャピタルゲイン(値上がり益)狙いのレバレッジ型ETF

  • 上級者向き
  • 各指数の日々の値動きの2倍の収益が期待できる
  • 短期売買と割り切って取引
  • 信用取引との組み合わせを活用する投資家もいる
  • 日経平均レバレッジ型がもっとも人気

初心者は、長期で指数の上昇を狙うべきです。ただ、現在のETFでもっとも人気があるのは「レバレッジ型」です。レバレッジ型ETFでは、各指数の2倍の収益が期待できます。例えば、日経平均株価が前日比で2%上昇したとすると、レバレッジ型は4%上昇します。

ただし、逆の場合もあるので、「ハイリスク・ハイリターン」のETFです。あくまでも短期トレードと割り切って取引しているため、取引経験の浅い初心者にはおすすめできません。

1570 NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス型上場投資信託

出典:ヤフーファイナンス

終値 売買単位 信託報酬 運用会社
18,250円(2019/05/09) 1口 0.864% 野村アセットマネジメント

日経平均株価の前日比変動率(%)の2倍となるように計算された、日経平均のレバレッジ指数に連動を目指すETFです。

東証全体の売買代金でも1位になるほど人気があります。ただし、ハイリスク・ハイリターンなので上級者向きのETFです。 この他、本来の指数と反対の動きで推移する「インバース型ETF」という商品もあります。例えば「日経インバース指数ETF」においては、日経平均株価が1%下がったときに、反対に1%上昇する指数を目指すETFです。つまり指数の下落相場を狙って利益を生むことを目指します。

分配金に着目したETF

  • 初心者向き
  • 3%以上の高配当が狙える

キャピタルゲイン(値上がり益)ではなく、分配金(インカムゲイン)に着目したETFもあります。初心者が投資をする場合は、値上がり益よりも分配金をメインにしたほうがいいでしょう。

分配金は、ETFを保有することで取得できる利益です。

また、配当金が高い銘柄は値下がりしても配当狙いの買いが入るので、下がりにくい傾向にあります。

ただし、今後の利回りが確定しているわけではありません。分配金が減るリスクもある点には注意しましょう。

1698 東証配当フォーカス100指数

出典:ヤフーファイナンス

終値 売買単位 信託報酬 分配金利回り 運用会社
1,643円(2019/05/09) 10口 0.3024% 3.16% 日興アセットマネジメント

東京証券取引所に上場している銘柄のうち、時価総額および予想配当利回りに着目して選定された100銘柄の値動きを表す「東証配当フォーカス100指数」との連動を目指すETFです。

分配金利回りは3.16%。東証1部全体の予想配当利回りは1.97%ですから、全体と比べると高くなっています。花王(4452)、キヤノン(7751)、JT(2914)など高配当銘柄が組入銘柄上位に入っています。分配金が年4回(1・4・7・10月)出るのも魅力です。

1488 ダイワ東証REIT指数

出典:ヤフーファイナンス

終値 売買単位 信託報酬 分配金利回り 運用会社
1,928円(2019/05/09) 10口 0.1674% 3.39% 大和証券投資信託委託

分配金利回りが期待できるREIT-ETFもおすすめです。REITとは不動産の投資信託です。東証REIT指数(東証に上場する全てのREITで構成される指数)に連動することを目指すのが「東証REIT指数-ETF」です。

年4回の分配金(3・6・9・12月)も魅力です。

ETFを取引するのにおすすめの証券会社

先ほども紹介しましたが、ETFの手数料は通常の株式と同じなので、取り引きをするなら手数料の安いネット証券の口座を利用しましょう。特に楽天証券、SBI証券、松井証券は、1日の約定代金が10万円までの手数料が無料なので少額から始めるのに適しています。またauカブコム証券の「フリーETF」なら、8銘柄にかぎり売買手数料が無料のため、ETFの取引に慣れたい初心者はフリーETFも活用しましょう。

証券会社 特徴 口座開設
いちにち定額コース

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アクティブプラン

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ボックスレート

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auカブコム証券のロゴ フリーETF

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この記事のまとめ

今回はETFの仕組みと主要な銘柄を紹介しました。種類別ETFをまとめると以下のとおりです。

国内株ETF 初~中級者向き

  • 1306 TOPIX連動型上場投資信託
  • 1321 日経225連動型上場投資信託
  • 2516 東証マザーズETF

外国株ETF 初~上級者向き

  • 1557 SPDR S&P500ETF
  • 1309 上海株式指数ETF

レバレッジ型ETF 上級者向き

  • 1570 NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス型上場投資信託

分配金に着目したETF 初心者向き

  • 1698 東証配当フォーカス100指数
  • 1488 ダイワ東証REIT指数

このようにさまざまな投資対象に少額から投資できるのがETFの魅力です。まずは、国内株や分配金をメインとした初心者向きのETFから始めてみてはいかがでしょうか。

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