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株の板情報とは?
板情報は、株の売買のタイミングやいくらで売買するのか値段を決めるのに役立ちます。
- 板情報
- 売数量、値段、買数量が記された表のようなもので、1つの銘柄に対して1つの板情報が存在する。
板情報を見れば、買いたい人数と買いたい価格、売りたい人数と売りたい価格がわかります。
簡単にいえば、板情報とは買いたい人と売りたい人の注文価格と注文数を表したものです。
板情報を見ればある銘柄に対し買い注文と売り注文がいくらでどれだけ入っているのかがわかります。
板情報は取引所の相場感を掴むのに必要です。もし板情報がなければ、相場がまったくわからず異常に高い値段で買ってしまったり、低すぎる値段で売ってしまったりするリスクがあります。
実勢価格が2,500円の株に対し5,000円の買い注文を出してしまった、または1,000円の売り注文を出してしまった、など思わぬ損をすることも起こりうるでしょう。
株の売買は、買いたい人と売りたい人の希望が一致してはじめて成立します。板情報は、買いたい人が「今いくらなら買えるのか」を知るためと、売りたい人が「今いくらなら売れるのか」を知るために必要な情報です。
また板情報には、板寄せ方式の情報とザラバ方式による売買の情報が表示されます。
この記事では、ザラバ方式での売買を中心に板情報の見方を解説しています。
板寄せ方式とザラ場方式
株の売買が成立する仕組みは2つあり、おもに、証券取引所が開いて最初の売買や、その日の最後の売買などで成立する仕組みを板寄せ方式と呼びます。
一方、おもに証券取引所が開いているときに売買が成立する仕組みをザラバ方式と呼びます。
株の板情報の読み方
では、実際に板情報を見ながら読み方を学んでいきましょう。
下の画面にある「売数量」は、売り注文が入っている株数、「値段」は1株あたりの価格です。
「買数量」は、買い注文が入っている株数を表しています。
つまりこの板情報から読み取れることは以下のようになります。
- 1株894円で売りに出ている株が200株ある
- 買いたい人の希望値は高くても1株883円
- 894円で売りたくても取引は成立しない
- 株価は今後下がりそう
株価は買いたい人と売りたい人とのバランスによって変動しています。
上の板情報の場合、売りたい株数の合計が4万5,000株なのに対し、買いたい株数の合計は4万4,400株です。
売りたい株数の方が多いので、株価はもう少し下がるかもしれないと予想できます。
もしも、買いたい株の数の方が多ければ、株価は上がるかもしれないと予想できます。
株の板情報で株価の動向を予想する
下の板を見ると値段の欄が1円刻みになっています。
このように、注文が1刻みでならびたくさん出ているのが「板が厚い」状態です。
刻みの単位は1円であったり5円であったり、銘柄によって異なります。
このように1刻みで並んでいることに加え、売り注文数が多い、買い注文数が多い状態を、それぞれ「売り板が厚い」「買い板が厚い」といいます。
- 売り板が厚い:1円刻みで注文が入り、注文数が多く売りたいと思われる株がたくさんある状態
- 買い板が厚い:1円刻みで注文が入り、注文数が多く買いたいと思われる株がたくさんある状態
買い板が厚い状態と株価の傾向
買い板が厚いときの株価の変動傾向について説明します。
上のように買い板が厚いときは、株価が下がりにくく上がる傾向にあります。
一方、下のように買い注文が2円、3円、5円ごとに入り、1,241円や1,231円~1,234円の注文価格が空いたスカスカの状態を板が薄い状態といいます。
板が薄い状態では、希望注文価格が飛び飛びで差があるので株価が変動しやすくなります。
この状態で4,000株の売りの成行注文が入ると、一番高い買い注文の価格は1,230円まで下がります。
売り板が厚い状態と株価の傾向
次に、売り板が厚いときの株価の変動傾向を説明します。
上のように1円刻みで多くの売り注文が入った売り板が厚い状態は、価格は上がりにくく下がりやすい傾向にあります。
ただし厚い売り板にひるまず買い挑むトレーダーの動きで、株価が上昇する可能性がないわけではありません。
売り板の場合も、下のように売り注文の刻みが1,260円から1,265円、1,270円と飛び飛びでスカスカの薄い状態だと株価が変動しやすくなります。
板の上下の価格差が大きくなると株価が上昇するときも株価が下降するときも、価格は一気に駆け上がったり下がったり、値動きは激しくなります。
板情報の使い方・活用方法
実際に板情報を見ながら、どのように価格を決めて売買していくのか見ていきましょう。
例として、下のような板情報を使っていきます。
買い注文時の板の使い方
この板情報で買い注文をするときに押さえるポイントは以下のとおりです。
- 873円で指値注文を出しても、4,600株の注文が成立しないと買うことはできません。
- この時点で、100株885円で指値注文を出せば、すぐに売買は成立(約定)しそうです。
- しかし、同時に他の人が100株886円で注文を出した場合には、決まらないこともあります。
- 売りたい株数の方が多いので、884円もしくは、883円で出しても売買が成立する可能性はあります。
この板では、1円単位で買い注文が並んでおり、買い板が厚くなっています。
大幅な高値で約定となるリスクは低いので、どうしても欲しい場合は指値注文ではなく、成行で注文してもよさそうです。
売り注文時の使い方
同じ板情報で売り注文をする場合を考えてみます。
- 895円に設定しても、8600株分の注文が成立しないと売れません。
- 883円で売り注文を出せば、すぐに約定しそうです。
1円単位で売り注文が並んでおり、売り板が厚くなっています。
大幅な安値で約定するリスクも低いので、どうしても売りたい場合や、急いで売りたい場合は、成行注文を出すと良いでしょう。
板情報ではわからないこと
板情報に出ている数はすべて指値注文です。成行注文は含まれません。
ですから、大量の成行注文が出るとバランスが崩れて株価が下がることもあります。
成行注文の動向を見るために、リアルタイムで注文数や約定数を確認できる「歩み値」があります。
歩み値は、1日のある銘柄の、約定となった値段の推移を確認できる表です。
- 歩み値:成行注文を含め今現在どんな注文が約定しているのか
- 板情報:売り希望、買い希望それぞれいくらで何株の指値注文が入っているのか
歩み値と板情報2つ合わせてチェックすれば、注文の失敗を防げるでしょう。
「特」「S」「注」「前」「over/under」のマークが出たら注意が必要
板情報を見ていると、売数量あるいは買数量の数値の横に「特」「注」「S」「前」「over/under」といったマークが出ることがあります。
「特」や「S」のマークが出た場合は、株価が変動する傾向があります。
初めて株を買う場合など、このマークが出ていたら慎重に売買を検討しましょう。
それぞれのマークが何を示しているか、詳しく見てみましょう。
マーク | 意味 | 詳細 |
---|---|---|
特 | 特別気配のこと | 買いか売りのどちらかに注文が殺到しているときに出るマークで、買い注文が多ければ「特別買い気配」となり、買数量の数値の横にマークが出る。 売り注文が多ければ「特別売り気配」として、売数量の数値の横にマークが出る。このマークが出ると取り引きは一時的にストップ。価格が一瞬で上がったり、下がったりしないように調節が行われる。 |
S | ストップ安、ストップ高 | 株価の急激な暴落や高騰を避けるために、1日の制限値幅が定められており、制限値幅まで株が上がったときや下がったときにこのマークが表示される。 |
注 | 注意気配のこと | 直近の約定価格からかけ離れた価格が出た場合に、直前の約定値段に近い注文を呼ぶ目的で表示される。より近い値段での買い注文、売り注文が優先される、 |
前 | 寄前気配(よりまえけはい) | 寄前(寄り前)とは、市場が始まる前の時間帯のこと。始値決定前の注文情報を表すマークで、ザラバ引けとなった場合にも「前」のマークがつく。 ザラバ引けとは、前場と後場の最終取引「引け」の値段がつかないまま引けた状態になること。 |
over/under | 表示外の注文数 | over:板に表示されている気配値より上の価格での売り注文の総数 under:板に表示されている気配値、希望価格より下の価格での買い注文の総数 気配値とは注文数が多い価格帯のことなので、板に表示されていない注文数や希望価格を見ることで売り板や買い板の厚さ、強さがわかります。 |
株アプリを用いた板の活用方法や注文方法
板を使った注文は、証券会社のアプリでも可能です。
ここではSBI証券の株アプリを使用して詳しく見てみましょう。
アプリでの板注文の手順は設定と注文の2ステップです。
まずは板注文の操作の設定を確認しましょう。
手順 | スマホ画面 |
---|---|
板の画面の任意の場所をタップ | |
「板注文機能設定」の画面が表示されるので、同意事項の内容を確認し「設定」をタップ |
これで板から注文できるようになるようになりました。設定できたら次は注文です。
手順 | スマホ画面 |
---|---|
板をタップし、取引の種類を選択する | |
数量欄をタップして注文数を入力 | |
注文したい値段の売数量の欄あるいは、買数量の欄をタップ |
この後、取引パスワードを入力すれば注文完了です。
もし間違って注文をしてしまっても、訂正したり取り消したりすることができます。