株の特定口座って何?一般・NISA口座との違いと選び方・注意点

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監修者 田邊龍彦
税理士
田邊龍彦 (たなべ・たつひこ)
士業の法定講習や小学校等で講演しています。税理士会弘前支部税務支援部長。twitter@Hirosaki.tax

「口座開設のときに聞かれる特定口座って何?」

「どの口座を選べばいいの?」

株式投資を始めるときに必要な証券会社の口座ですが、「一般口座」「特定口座」「NISA口座」のどれを選べばいいかわからないですよね。

「とりあえずどれでもいいか…」と安易に選んでしまうと、税金の支払いのときに手間が増えてしまうかもしれません。

この記事では「一般口座」「特定口座」「NISA口座」の違いやメリットやデメリットについて紹介しています。あなたにとって最適な口座を選びましょう。

  • 特定口座とは証券会社が取り引きの計算をしてくれる口座
  • 一般口座との違いは取り引きの計算を自分でするかどうか
  • 特定口座の中にも源泉徴収あり・なしがある

株を始めるのに必要な特定口座と一般口座の違いとは

証券口座を開設しようと操作を進めていくと必ず聞かれるのが、「特定口座」か「一般口座」か「NISA口座」かということです。
NISA口座については後で詳しく解説しますので、まずは特定口座と一般口座の違いを見ていきましょう。

大きな違いは証券会社が計算してくれるかどうか

特定口座と一般口座の大きな違いは、証券会社が損益の計算(損益計算)をしてくれるかどうかです。

特定口座の場合
特定口座の場合は、1年間の株取引の損益を証券会社が計算してくれます。

現在、株投資を行っている人の多くが特定口座を利用しています。

一般口座の場合
一般口座の場合、1年間の株式取引の損益を自分で計算し「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」も自分で作成して確定申告をする必要があります。

計算明細書には、株の銘柄ごとに取り引きを行った日数量取引手数料などを細かく記載する必要があり、手間がかかります。

特定口座にも「源泉徴収あり・なし」の2種類がある

証券会社が計算をしてくれる便利な特定口座は、2種類あります。

証券会社が損益の計算をしてくれるため多くの人が利用している特定口座ですが、さらに2種類に分かれます。

特定口座:源泉徴収あり

1つ目は「源泉徴収あり」の口座です。

源泉徴収ありの口座で株式取引を行うと、取り引きの際に自動的に税金が引かれる仕組みになっています。税金を取り引きの都度支払うため、確定申告をする必要がありません。

特定口座:源泉徴収なし

2つ目は、源泉徴収なしの口座です。

源泉徴収なしの口座の場合、取り引きしてもその場では税金が引かれません。損益計算は証券会社が行ってくれますが、確定申告は自分で行って税金を支払う必要があります。

証券口座それぞれのメリット・デメリットまとめ

損益計算から確定申告まですべて証券会社にお任せする「特定口座・源泉徴収あり」は、初心者におすすめの口座です。

損益計算から確定申告まですべて自分でしなければならない「一般口座」と、確定申告を自分でしなければならない「特定口座・源泉徴収なし」は、手間がかかる点がデメリットです。

口座 メリット デメリット
特定口座
(源泉徴収あり)
損益計算と確定申告が不要 損失が出た場合には確定申告をした方がよい
特定口座
(源泉徴収なし)
損益計算は証券会社がする 確定申告は自分でする
(※)
一般口座 自分の手で損益計算ができる 確定申告は自分でする
(※)

※条件を満たし株の利益が20万円以下で、株以外の所得もなければ所得税の確定申告は不要

特定口座と一般口座のどちらかを選ぶときのポイントと注意点

メリットとデメリットをふまえたうえで、どの証券口座を選んだらよいでしょうか。
ポイントは「確定申告が必要かどうか」です。

そもそも確定申告が不要ならどの口座でも大丈夫

株の利益が20万円以下で株以外の所得もなければ、そもそも所得税の確定申告をする必要がありません

さらに、年末調整で所得税を納税している給料所得者の場合、または公的年金などの年金所得が年間400万円以下の年金受給者で年金以外の所得が20万円以下だった場合も、確定申告は不要です。

つまり、上記に当てはまる場合は「特定口座・源泉徴収なし」でも「一般口座」でも、どちらを選んでも変わりはありません。

株の利益が20万円を超える場合は確定申告の必要がありますので「特定口座・源泉徴収あり」にしておいた方が手間がかからず楽です。

株の税金はどうかかるの?

株式投資において税金がかかるのは、株を売却して利益(売却益)を得たとき配当金を受け取ったときです。
税率は所得に関係なく一律で決まっていて、売却益に対して20.315%、配当金に対して20.42%です(申告分離課税の場合)。

株の税金についてくわしくはこちらの記事へ
「株の利益にかかる税金とは?確定申告の方法を口座種類別に解説」

注意するべきなのは損失が出た場合

しかし注意すべきなのは、株式取引は損失が出る場合もある点です。

株取引で損した場合には、確定申告をすることで配当の利益と譲渡の損失を相殺でき、利益分から損失分を引いて利益分にかかる税金を減らせます(申告分離課税の場合)。
さらに、この損益通算をしても損失が残った場合でも最大で3年間その損失を繰り越せます。これを損失の繰越控除といいます。

「特定口座・源泉徴収あり」は確定申告が不要な点がメリットですが、損が出た場合に確定申告をしないと、払わなくてよい将来の税金を払うことになります。
損失が出た場合の手続きは、証券会社は行ってはくれません。

NISA口座にもメリットとデメリットはある

NISA口座は、株投資の利益に対する所得税が非課税になる口座です。

年間の投資額が120万円までなら税金がかからず節税になるのがNISA口座のメリットです。

一方、デメリットは、損益通算や損失の繰越控除ができない点です。
たとえば、A証券の特定口座取引で損失が出た場合、B証券の特定口座取引で得た利益と損益通算すれば税金の負担を軽減できます。

NISA口座の場合、損失が出ても損益通算や損失繰越控除ができません

また、永遠に税金がかからないというわけではなく、非課税になるのは投資した年から5年間と期間が定められています。
さらにNISA口座は1人1口座と決められており、たくさん口座を持つことはできません。

結局どの口座を選べばいいのか

「一般口座」「特定口座(源泉徴収あり)」「特定口座(源泉徴収なし)」「NISA口座」のどれを選ぶとよいのでしょうか。
それぞれどのような人におすすめなのかまとめました。

一般口座を選んだ方がよい人

  • 株の収入しかなく、利益が38万以下の人
  • 給与所得者で給与以外の所得が20万円以下の人
  • 公的年金などの年金所得が年間400万円以下の年金受給者でそれ以外の所得が20万円以下の人
  • 確定申告が必要な人

特定口座(源泉徴収あり)を選んだ方がよい人

  • 給料所得者(サラリーマン)で給料以外の所得が20万円を超える人
  • 公的年金などの年金所得が年間400万円以下の年金受給者でそれ以外の所得が20万円を超える人
  • 個人事業主の人
  • 専業主婦(夫)の人
  • 確定申告手続きを証券会社に任せたい人

特定口座(源泉徴収なし)を選んだ方がよい人

  • 徴収されるべき源泉税金額も利用して積極的に投資したい人

NISA口座を選んだ方がよい人

  • 年間の投資額が120万円までで少額取引を中心に行う人
  • 短い投資期間内で節税したい人

証券口座の開き方

どの口座にするかが決まれば、口座開設手続きはとても簡単に終わります。

開設の流れは証券会社によって違います。
たとえば、松井証券の口座をオンラインで開設する場合は下のような画面に必要事項を入力していきます。

松井証券の口座開設画面

その後、マイナンバーカードと運転免許証などの身分証明書をアップロードして完了です。

郵送の場合は、サイトの口座開設ボタンから申込書を取り寄せます。
その後、身分証明書などの必要書類のコピーと一緒に郵送します。

オンラインでの開設は最短で4日、郵送での開設は最短で1週間ほどです。

ほとんどの証券会社でオンライン開設か郵送での開設か選択できますので、早く簡単に取り引きを始めたい人はオンライン開設がおすすめです。

株の初心者のためのQ&A

最後に、株の取り引きを始める前に気になるギモンにお答えします。

株をしていると会社にばれますか?

株は資産運用の一つで、副業ではないので、会社に知られても問題にはならないケースがほとんどです。それでもあまり知られたくない場合は、「特定口座・源泉徴収あり」で取り引きし申告不要とするか、確定申告により株取引にかかる住民税の納付を自分で行うとよいでしょう。

また、注意していても、ついつい株式チャートが気になり業務が疎かになってバレてしまうケースもあるようです。仕事中は、株取引しないなど最低限のルールは守りましょう。

※銀行、証券会社、保険会社などの金融機関に勤めている人は、会社の内規等で株取引が禁止されていることが多いようです。

複数口座を持つと税金はどうなりますか?

複数の口座を持っていて、A証券では損失が、B証券では利益が出ている場合、そのままにしていると利益分にかかる税金を徴収されます。

ただし、A証券とB証券の損益を通算する申告により、B証券で納めた税金が還付される可能性があります。
複数の口座を持っていて損失がある場合は確定申告を行いましょう

この記事のまとめ

株の利益が20万円以下にしかならないとわかっていれば、特定口座にしても一般口座にしても大きな差はありません。
ですが、損益の計算を自分でするのは大変ですから、証券会社に計算してもらえる「特定口座」にしておくのがよいでしょう

利益が20万円を超えた場合は確定申告が必要ですから、利益が20万円以上出せそうなら「源泉徴収あり」を選んでおきましょう。

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