連載第1回:初心者だけど投資を始めたい!投資の基本と準備・始め方

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著者プロフィール

濵島成士郎(はましま・せいじろう)

株式会社WealthLead代表
日本証券アナリスト協会認定シニア・プライベートバンカー

このコラムでは「投資を始めてみたいけどどうしたらよいかわからない」とか「知識もないし投資は怖い…」という投資の初心者の方向けに、「そもそも投資って何だろう?」という基本から正しい資産形成方法まで、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。

 

濵島成士郎

はじめまして。株式会社WealthLead代表の濵島成士郎です。これから1年間このコラムを担当させていただきます。
どうぞよろしくお願いします。

将来の資産形成のために投資の基本知識と準備が必要なのは

  • 投資の目的や意義を正しく理解する必要があるから
  • お金を大きく増やすには複利と時間の仕組みを知る必要があるから

何のために投資をするのか

そもそも投資とはどういうことでしょうか。
投資にもいろいろあります。自己投資、教育投資、設備投資、株式投資、不動産投資…。

このコラムでは、「お金」を投下して将来的に大きな「お金」となって返ってくる投資、中でも「株式投資信託債券などへの投資」についてその目的や意義を考えていきます。

では、株式や投資信託、債券などに投資をして、将来大きなお金(資産)を得ようとするのは何のためでしょうか?

一番はもちろん自分のためですよね。でも私はそれだけではないと思います。
もう一つ、自分以外の誰かのためでもあると思います。

「自分のため」と「自分以外の誰かのため」、それぞれもう少し詳しく説明していきます。

まずは自分のためのお金をつくる

生きていくためにはお金が必要です。毎日食事をするのにも服を着るのにも、趣味を楽しんだり旅行に行ったりするのにもお金がかかります。

働いてちゃんと収入があるうちは問題ないですが、病気や事故などで収入が途絶えることもあるかもしれません。

また、老後のお金も用意しておく必要があります(老後のお金についてはいずれ詳しく書きますね)。

そして何よりも、実現したい夢や目的・目標を達成するために、お金はないよりはあった方がいいですよね!

つまり、豊かで素敵な人生を送るためには、働いて得る収入だけではなく、投資をしてお金を増やしていく必要があります。

自分以外の誰かのために投資をする

「自分以外の誰かのため」とは、言い換えると「世のため人のため」です。
私たちが生きているこの社会は、誰かが資金を出して株式会社をつくり、資本を投入して事業を行ったから成立しています。

ふだん当たり前のように利用している電車もエレベーターも、パソコンもスマホのアプリも、誰かが株式会社をつくり、資本を投入し事業を行ってきたからこそ存在します。
その会社の株式に投資した人=株式を買った人がいたからこそできたものなのです。

社会をより良くするためにも、投資は必要なのです。

投資は自分のため+社会貢献

投資で豊かになったら、あなたはどうしますか?
欲しかったモノを買ったり、素敵なレストランで食事をしたり、たくさん旅行もするでしょう。寄付だって今までより多くするかもしれません。

投資をすることで自分の暮らしが豊かになると同時に、消費活動が活発になりお金の好循環が生まれ、世の中も豊かになるのです。

つまり投資するということは、あなたの暮らしを豊かにするだけでなく社会を豊かにする社会貢献でもあるのです。

投資によってどのくらい増えるのか

では、実際に投資をするということについて具体的に考えていきましょう。投資でどのくらいお金が増えるのかを見てみます。

下の表は、100万円を預金した場合と、利回り1~7%で投資した場合で比べたものです。

利回り 5年後 10年後 20年後 30年後
預金した場合 0.01% 1,000,480円 1,000,960円 1,001,920円 1,002,880円
投資した場合 1% 1,051,010円 1,104,620円 1,220,182円 1,347,834円
3% 1,159,319円 1,343,943円 1,806,087円 2,427,172円
5% 1,276,482円 1,629,113円 2,653,580円 4,322,349円
7% 1,403,019円 1,967,763円 3,870,803円 7,614,374円

いかがでしょうか。100万円を利回り5%で運用すると30年後には約432万円にもなります。
このようにお金が増えるのは、複利で運用するからです。

利回りとは
投資した金額に対する年間の収益率のことです。
例えば、100万円を投資して3年間で15万円の収益が上がったとすると、1年当たりでは5万円の利益なので、5%の利回りとなります。
複利とは
増えた利息(利益)にも利息(利益)が付いて雪だるま式に増えていくことです。
例えば、100万円を利回り1%で運用すれば、1年後には101万円になります(税金などは考慮していません)。この101万円をまた利回り1%で運用すれば、1年後には102万100円になるのです。

上の表のように、複利で長期間投資をすれば、時間がたてばたつほど大きく増えるのです。

ちなみに利回り7%というのは、決して無理な数字ではありません。世界の株式全体では、過去30年間の平均利回りは7.8%となっています。

初心者におすすめの投資は「投資信託」

では、具体的にどのような投資商品に投資すればよいのでしょうか。

投資というと「株式」をイメージされるかもしれませんが、私のおすすめはズバリ!「投資信託」です。

投資信託とは
投資家から集めた資金を、専門家が投資家に代わって投資、運用していく商品です。
国内株式や外国株式、債券など、投資商品の組み合わせはさまざまで、投資対象や運用方針に従って組み入れられています。

株と投資信託の違いとは?

とは、企業が発行した株式のことです。株投資は、その株式を買って利益を得る投資です。
投資信託は、いろいろな企業の株や国が発行している債券などをパックにして、まとめて運用する商品です。自分で運用するわけではなく、専門家が運用します。

投資信託という箱の中にどんな資産を入れるのか、どの銘柄を入れるのかは自由に設計できます。
例えば、世界の株式を全部まるごと入れてしまうこともできますし、日本の株式の中から厳選した良い銘柄だけを入れることもできます。

さらに、10,000円程度から投資が可能(中には100円から積み立てができる場合も!)ですので、投資の初心者の方でもいろいろな資産や銘柄に少額から投資することができるのです。

少額投資といっても、複利で長期間積み立てていく投資方法なら、大きな資産をつくることができます。

下の表は、毎月10,000円ずつ積み立てていった場合のお金の増え方を、預金した場合と投資をした場合で比べたものです。

利回り 5年後 10年後 20年後 30年後
総積立額 600,000円 1,200,000円 2,400,000円 3,600,000円
預金した場合 0.01% 600,125円 1,200,550円 2,402,300円 3,605,250円
投資した場合 1% 615,410円 1,262,206円 2,656,463円 4,196,594円
3% 647,460円 1,398,030円 3,276,863円 5,801,804円
5% 681,068円 1,550,304円 4,075,579円 8,188,987円
7% 716,352円 1,721,069円 5,106,680円 11,766,680円

月に10,000円でも、利回り5%の商品で運用すれば、30年後には預金の倍以上のお金になります。
いま元手がなくても、毎月少しずつでも積み立てていくことによって将来大きなお金になるのです。

大事なことは「元手があるかないか」ではなく、複利で長期的に継続することです。

ちなみに、毎月50,000円の積み立てを35年間継続するだけで利回り7.7%あれば1億円に到達します。
このコラムを読んでいらっしゃる多くの方が達成可能ではないでしょうか。

株式の個別銘柄や債券への投資は投資対象をよく調べることが必要ですし、ある程度のまとまった資金が必要になります。投資の経験を積み、ある程度知識も備わってから個別の銘柄への投資を検討してもよいかと思います。

投資を始めるための具体的な準備

投資を成功させるには、準備~実践というステップを踏んでいきます。

準備 STEP.1 金融機関を選ぶ
STEP.2 口座を開設する
実践 STEP.3 投資商品と金額を決める
STEP.4 継続する

今回は投資を始めるための具体的な準備2つ

  1. STEP1.金融機関を選ぶ
  2. STEP2.口座を開設する

についてご説明していきます。

実践については次回のコラムでご説明していきますので、お楽しみに。

準備1.金融機関を選ぶ

投資を始めるにはまず金融機関に口座を開設しますが、株式への投資をしたい人は証券会社に口座を開設する必要があります。私がおすすめするのはネット証券会社です。
その理由は品ぞろえが豊富でコスト(手数料など)が安いからです。

例えば投資信託の取扱銘柄は、対面型の大手証券会社だとせいぜい数百本程度ですが、SBI証券楽天証券の投資信託の取扱銘柄数はなんと2600銘柄以上です!

また、コスト(手数料など)が安いことは重要です。なぜなら、コストは必ず投資の足を引っ張るから。

例えば、対面型の大手証券会社や銀行の窓口で投資信託を買うと、購入手数料が2~3%ほどかかります。
10万円だと2,000~3,000円、100万円だと2万~3万円、これに加えて消費税も必要ですから、かなりの負担になります。

ネット証券会社では購入時に手数料がかからない、いわゆるノーロード投信を多く取りそろえています。また、購入時の手数料は販売会社ごとに決定しますので、同じ銘柄でも証券会社や銀行によって手数料が違うケースがありますので、よく調べてみることをおすすめします。

準備2.口座を開設する

ネット証券会社であれば、その会社のHPから申し込みができます。
住所や名前、生年月日など、必要事項を記入していきますが、本人確認書類とマイナンバーが必要になります。
サイト上でUPするか、メールや郵便で送るかになりますが、免許証や個人番号通知カード、マイナンバーカードを事前に用意しておくとスムーズです。

対面型の大手証券会社や銀行だと、印鑑や本人確認書類、マイナンバーカードなどを持って店舗に出向き手続きをします。口座が開設されるまで1~2週間程度かかりますので、余裕をもって手続きをしてください。

口座を開設できたら、投資する銘柄と金額を決めて実践!ですが、これ以降は次回をお楽しみに!

まとめ

  • 投資をするのは「自分のため」と「世のため人のため
  • 複利」と「時間」でお金は大きく増やせる
  • 品ぞろえ豊富で手数料の安いネット証券で投資を始めよう

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