株の夜間取引とは

「日中は忙しくて株の売買が難しい」

このような投資家にとって便利な仕組みが夜間取引です。 夜間取引=証券会社が運営する私設取引(PTS)を利用することで、下記の時間帯で株の売買ができます。

  • 朝:8時20分~16時
  • 夜:17時~23時59分(一部時間を除く)

PTSを使えば、東京証券取引所(東証)などと比べて1日で約8時間40分(SBI証券の場合)、取引時間を増やすことができます。その理由は東証が「取引時間外」としている時間帯に株の売買を行えるからです。

取引時間が増える=リアルタイムで株の売買がができる時間が増えることがPTSの魅力です。ただし、参加している投資家と出来高(株の売買取引成立数)が東証より少ないことで、「売りたいときに売れない」状況も起こるため、注意する必要があります。

この記事でPTSの特徴を確認したうえで、夜間取引を活用してみましょう

夜間取引とは

夜間取引とは、証券取引所が閉まった15時以降の夕方や夜に株式を取引できるサービスです。証券取引所を経由せずに、私設取引市場であるPTS(Proprietary Trading System)を利用します。

PTSの種類は、ジャパンネクストPTS(SBIジャパンネクスト証券株式会社が運営)とチャイエックスPTS(チャイエックス・ジャパン株式会社が運営)の2つです。

2019年6月現在、これらのPTS市場を通じて夜間取引を売買できる証券会社と取引時間は以下の通りです。

SBI証券 楽天証券 松井証券
ジャパンネクストPTS 8:20~16:00 17:00~23:59 8:20~15:30 17:00~23:59 8:20~15:30 17:30~23:59
チャイエックスPTS × 8:00~16:00 ×

株初心者にとって夜間取引が難しい2つの理由

ジャパンネクストPTSを利用すれば、デイタイムセッション(8:20~16:00)、ナイトタイムセッション(17:00~23:59)と証券取引所が開いていない時間でも取り引きできます。

PTSは日中忙しくて取り引きできない株初心者にとって便利なサービスですが、以下の点から「株取引への慣れ」が求められます。

  1. 流動性が低い
  2. 指値注文しか使えない

それぞれ詳しく解説します。

流動性が低い

株式市場における流動性とは「どれだけ活発な売買が行われたか」を示す言葉です。
現在、PTSを取り扱っている証券会社は少ないので、株の売買数(=出来高)が東証などと比較して多くありません。すなわちPTSは「流動性の低い」市場といえます。

流動性が低いことで最も困るのは「買いたい時に買えない、売りたい時に売れない」ことです。

下記は株の売買数が多い=流動性が高い銘柄の例です。

流動性の高い銘柄【ソフトバンク:出来高990万4500株】

売気配株数 気配値 買気配株数
2200 1470.5
209100 1470.0
142300 1469.5
1467.5 10000
1467.0 4700
1466.5 11400

0.5円刻みで売買を希望する価格(気配値)が出ています。出来高も多く頻繁に売買されていることから、想定した価格通りの売買が可能です。

下記は株の売買数が少ない=流動性の低い銘柄の例です。

流動性の低い銘柄【中道リース:出来高100株】

売気配株数 気配値 買気配株数
1000 500
100 485
100 480
473 100
472 100
465 100

売買数自体が少ない=流動性の低い銘柄では、472円や465円など、取引できる価格が限定されます。また、出来高が少ないことから注文の数によっては「売りたくても売れない」状況が発生するため、初心者にとって難しい取引です。

PTSに自分が買いたい銘柄があった場合、出来高と板情報を確認しましょう。以下のような基準で流動性をチェックすることができます。

  • 出来高(数日間平均)が、買う株数の100倍以上
  • 気配値に対して、買う株数と同数以上の売買希望(配株数)が入っている

指値注文しか使えない

証券取引所の株式注文には以下の2種類があります。

成行注文
いくらでもいいから買いたい場合に株価を指定せずに売買する方法
指値注文
指定した株価になったら株式を売買する方法

PTSでは指値注文しか使えません。成行注文をだせばすぐに約定(株の売買が成立)しますが、指値注文は必ずしも約定できるわけではありません。

たとえば、買い注文を1000円の指値注文でだしていたとしましょう。現在の株価が1050円だった場合、1000円以下まで株価が下がらないと買い注文ができないのです。

自分で板を見ながら約定する値段で注文をださないといけないので、PTSの取引に慣れるまで株初心者には難しいかもしれません。

株初心者のための夜間取引活用法

株初心者は「投資先企業が業績の下方修正をした」など悪材料がでたときに、PTSの夜間取引で売却を検討しましょう。

決算など株価に大きく影響を与える情報は、取引中に、株価が乱高下することを防ぐため15時以降に発表されるケースが多いです。したがって東証では株を売りたくても翌営業日まで待たなくてはいけませんが、PTSの夜間取引を利用すれば当日中の売却が可能となります。

株価に影響する材料はTDnet「適時情報開示」でチェックしてみましょう。決算発表や新製品発表、合併などの情報が確認できます。

また、夜間取引で大きく株価が動いている銘柄をチェックするには、モーニングスターのPTSランキングが便利です。

2019年6月28日の値下がり率ランキングは以下の通りです。

順位 コード 銘柄名 現在値 基準値比 出来高
1 6383 ダイフク 5120 -15.37% 100
2 6264 マルマエ 650 -9.22% 400
3 4445 リビンテクノ 6821 -9.05% 23,600
4 6196 ストライク 1851 -8.23% 2,400
5 1400 ルーデン 399.2 -6.73% 2,800

出典:モーニングスター 

保有株が大きく下落している場合、翌日の株価に与える影響を考慮して売却を検討しましょう。株価に与える影響は以下の2点から判断できます。

  • 出来高…高ければ売りを検討
  • ニュース(決算や新製品発表など)…材料が出ていれば売りを検討

値下がり率第1位のダイフク(6383)は、出来高が100株です。そして、適時情報開示やニュースをみても特に材料は出ていません。こうした場合は、翌日の株価への影響は少ないと考えられます。ですからPTSでの売却を考える必要はありません。

一方で、第3位のリビン・テクノロジーズ(4445)は出来高が十分あります。また、日中の取引所取引でストップ安(値幅制限の下限)まで売られているので、翌営業日も安く始まるのではないかと考えられます。この場合、翌日さらに下落する恐れがあるので、PTSで前日のうちに売却することも検討します。

第2位のマルマエ(6264)は出来高が400株と少ないですが、決算を発表しています。こちらも翌営業日は安く始まるのではないかと推察できます。この場合も、PTSの状況を見ながら売却することを考えます。

ただし、PTSの価格と取引所の価格は大きく乖離することも多いので、PTSの出来高と材料を参考にしながらも、あくまで売買を判断するための目安として利用するようにしましょう。

夜間取引ならではの魅力

夜間取引の魅力も確認しておきましょう。

手数料が取引所での取引より安い(SBI証券のみ)

SBI証券会社では、関連会社のSBIジャパンネクスト証券株式会社がジャパンネクストPTSを運営しています。そのため、PTSでの株式売買手数料が取引所よりも約5%安くなります。手数料の分だけ利益が大きくなるので、投資効率が向上する可能性があります。

1注文の約定代金 PTS取引手数料 取引所取引手数料(スタンダードプラン)
~5万円 47円(税込50円) 50円(税込54円)
~10万円 86円(税込92円) 90円(税込97円)
~20万円 100円(税込108円) 105円(税込113円)
~50万円 238円(税込257円) 250円(税込270円)
~100万円 462円(税込498円) 487円(税込525円)
~150万円 553円(税込597円) 582円(税込628円)
~3000万円 876円(税込946円) 921円(税込994円)
3000万円超 924円(税込997円) 973円(税込1050円)

出典:SBI証券

ただし、楽天証券や松井証券では、通常の国内株式の手数料体系が適用されます。

海外市場の動向を見ながら取引できる

個別株の決算発表以外にも、夜間の取引時間には、欧州や米国で経済指標が発表されます。

たとえば、毎月毎第一金曜日の22時30分(米国夏時間21時30分)に米国で発表される雇用統計はアメリカの景気状況を測る上でもっとも重要な指標のひとつで、翌日の株価にも大きな影響を及ぼします。

雇用統計の中でとくに注目されるのが、非農業部門雇用者数と失業率です。事前の予想に対して期待以上であれば、NYダウなどの株式市場は上昇し、期待外れであれば下落する傾向にあります。

少し上級者向けですが、ソニーやトヨタなど米国株市場との連動性が高い国内株を、米国の動きに合わせて売買するのもPTS活用法のひとつです。

翌日まで待たなくてもリアルタイムで対応できるのは、夜間取引の大きなメリットといえます。

日中取引でもPTSを選択できる

取引所が開いている日中でもPTSで株式の売買ができます。もちろん東証などの取引所も並行して使用できるため、「取引所がひとつ増える」と考えてください。

東証とPTS、ふたつの市場から平行して注文する仕組みをSOR(Smart-Order Routing)注文といいます。SOR注文はSBI証券と楽天証券で選択可能です。

SOR注文では、事前に取引所とPTSの価格を見比べる必要はありません。もっとも良い条件(安い値段で買い、高い値段で売れる)の市場へ自動的に注文がだせます。

買う銘柄が決まっていることを決めた銘柄がある場合は、SOR注文で少しでも安く買うことを目指しましょう。

この記事のまとめ

今回は、PTSを通じた夜間取引について解説しました。取引所が開いていない時間帯にも株式を取引できるのは、日中忙しい方にとって便利なサービスです。

ただし、流動性がないので買いたい(売りたい)値段で売買できないことや、注文方法が指値注文に限られるなどから、はじめは難しいと感じるかもしれません。

まずは、保有銘柄に悪材料が出た場合に、PTSの夜間取引で売却可能かどうか調べる使い方をおすすめおすすめします。

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