併用できる?NISAとiDeCoの違いと共通点を解説

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監修者 田邊龍彦
税理士
田邊龍彦 (たなべ・たつひこ)
士業の法定講習や小学校等で講演しています。税理士会弘前支部税務支援部長。twitter@Hirosaki.tax

「NISAとiDeCoってどっちを選んだらいいの?」

「併用することはできる?」

節税効果もあり、将来のための資産形成として選ばれているNISAとiDeCoですが、“NISAとiDeCoは併用できない” “NISAもiDeCoも損だから貯金が正解”など様々な情報が飛び交っています。

今回は、NISAとiDeCoの違いと共通点について解説します。制度の仕組みを理解したうえで、自分にこの制度はあっているのか、また、どちらを選ぶとよいのかなど判断しましょう。

  • NISAもiDeCoも投資によって得られた利益に対して非課税
  • iDeCoの最大の特徴は掛け金が全額所得控除になること
  • 60歳までにお金を引き出す可能性のある人などはNISAが向いている
  • 60歳までにお金を引き出せなくても問題のない人で長期積み立てをしたい人はiDeCoが向いている

NISAとiDeCoはどちらを選ぶべきか

はじめるなら、NISAとiDeCoのどちらを選ぶべきか迷っている人も多いかと思います。まずは、NISAとiDeCoの特徴を確認していきましょう。

NISAとは
少額投資非課税制度」のこと。決められた枠内で株や投資信託などに投資を行い、運用によって得た利益に税金がかからない制度。

NISAには一般NISAとつみたてNISAの2種類ありますが、併用することはできません。

iDeCoとは
個人型確定拠出年金制度」のこと。個人で積み立て投資をして将来の資産をつくる制度。積み立て金額が所得控除の対象となる。

年金というと国民年金が頭に浮かびますが、国民年金は、日本国内に住む20歳から60歳未満の人が加入することになっている制度です。
他にも、会社員や公務員が加入する厚生年金などもあります。
これらの年金に加えて、さらに個人的に将来の資産をつくれるようにした制度が、iDeCoです。

NISAとiDeCoはどちらも株式などを購入して運用し、範囲内であれば利益に税金がかからないという点では似たような制度に見えます。
しかし、iDeCoの最大の特徴は、拠出金(積み立てたお金)も所得控除の対象となる点です。また、その他にも少しずつ違いがあるので、このあと詳しく説明していきます。

必ずしもNISAとiDeCoどちらかを選ぶ必要はなく、併用することが可能です。よって、選択肢は以下の3つになります。

  1. NISAのみ
  2. iDeCoのみ
  3. NISAとiDeCoの併用
    (一般NISAとiDeCo、つみたてNISAとiDeCo)

ここまで説明した、NISA(つみたてNISA)とiDeCoの簡単な違いを以下の表にまとめました。

NISA つみたてNISA iDeCo
加入条件 日本在住20歳以上 日本在住20歳以上 日本在住60歳未満
※他条件あり
限度額 年間120万円(最大600万円) 年間40万円(最大800万円) 最低金額6万円~
※公的年金の加入区分で上限が決まる
運用期間 短期 長期 長期
向いている人の例 リタイア後、資産運用に興味を持った60歳以上の人など 長期で積み立てたいけど、iDeCoには加入できない人
結婚や出産、旅行などその都度お金を引き出す可能性のある人など
老後を見据えて、引き出さずに、投資あるいは貯金をしたい人
退職金が貰えないため、代わりに積み立てておきたい人など

※iDeCoへの加入にはいくつかの条件があります。すでに企業型確定拠出年金に加入している人は加入できません。
※ただし、企業型確定拠出年金に加入していても、iDeCoへの加入が認められていれば加入できます。

NISAとは

NISAとは、NISA口座内において、定められた条件のもと、株や投資信託などを運用し、それで得た利益に対して税金がかからない制度です。

通常、課税口座で取り引きした場合、株や投資信託などで得た利益に対して20.315%の税金がかかります。
株取引の場合、銘柄によっては保有しているだけで配当金が出る株もあり、この配当金にも20.315%の税金がかかります。
ですから、配当金を1,000円もらえたとしても、税金を引くと利益は800円くらいになるというわけです。

NISAは非課税なので、配当金1,000円すべて利益になります。NISAは投資をする人の税金の負担を軽くする制度です。ですから、投資をして資産形成したい人に向いています。

NISAには、一般NISAとつみたてNISAがあります。それぞれの特徴をまとめました。

一般NISA

一般NISAでは、株や投資信託など幅広い商品に投資できます。5年間、1年に120万円まで好きなタイミングで売買が可能です。
NISAは、日本国内に住む20歳以上の人なら誰でも加入できます。
もともと投資に興味があり、買いたい株や投資信託を積極的に選んで投資したい人に向いています。

つみたてNISA

つみたてNISAでは、国が厳選した投資信託のみに投資できます。年間40万円まで最長で20年間にわたり定期的に積み立てるスタイルの投資法です。
貯金のような感覚ですが、貯金とは異なり、投資なので元本割れのリスクはあります。

つみたてNISAも一般NISA同様、日本国内に住む20歳以上の人なら誰でも加入できます。
投資に興味はあるけれど自分で個別銘柄などを選んでの運用には自信がなく、毎月一定額を積み立て投資したい人に向いています。

iDeCoとは

iDeCoで投資信託などの金融商品を運用した場合、それで得た利益も非課税です。iDeCoは、掛け金の全額が所得控除になる制度で、最終的に一時金または年金として受け取る場合も控除の対象となります。

ただし、iDeCoは、農業者年金の被保険者、障害基礎年金受給者を除く、国民年金の保険料納付を免除している人、個人での同時加入を認めていない企業型確定拠出年金の加入者については、加入できません。 さらに、国民年金の加入区分によって月額の掛け金の上限が定められています。

保険区分 対象 月額
第1号被保険者 自営業者 6.8万円
(国民年金基金含む)
第2号被保険者 会社員 1.2万円~2.3万円
第2号被保険者 公務員 1.2万円
第3号被保険者 専業主婦・主夫 2.3万円

会社員の場合、企業型年金や確定給付型年金など、加入している企業年金によって、月々の掛け金の上限が変わります。
また、加入できない場合もあるため、まずは自分が加入している年金を確認してみましょう。

iDeCoは、「積み立てるとき」「運用するとき」「受け取るとき」の3つの段階で税制が優遇されます。
自営業の人や、勤めている会社に企業年金制度のない会社員、公務員などに選ばれています。

またiDeCoには、投資信託などに投資する商品だけでなく、元本が保証された定期預金タイプもあります
銀行の定期預金は利息に税金がかかりますが、iDeCoの定期貯金タイプは利息に税金がかかりません。
ですから、定期的に貯金をしている人、始めようと考えている人におすすめです。

一般NISA、つみたてNISA、iDeCoの違いと共通点

ここまでの流れから、NISAは節税効果のある投資、iDeCoは個人で入る年金制度で、投資商品もあれば元本が保証されている商品もあることがわかったと思います。
さらに理解を深めるために、もう1歩踏み込んで共通点や違いをまとめました。

一般NISA、つみたてNISA、iDeCoの共通点

一般NISA,つみたてNISA,iDeCoの共通点は、資産の運用で得た利益が非課税となることです。
どのくらい節税効果があるのかは、運用した商品や、一般NISA、つみたてNISA、iDeCo、どれを選ぶかで変わります。

運用益に注目するなら、iDeCoの元本保証型の商品を選ぶと、一番節税効果は薄いということになります。

一般NISA、つみたてNISA、iDeCoの違い

次に、各項目別に一般NISA、つみたてNISA、iDeCoの違いを確認してみましょう。

年間投資額

一般NISA つみたてNISA iDeCo
年間120万円 年間40万円 月々1.2万円~6.8万円

一般NISAの年間投資額は毎年120万円、つみたてNISAの年間投資額は毎年40万円です。月々に換算すると、約3万3,000円です。

iDeCoは、国民年金の加入区分や企業保険加入の有無によって異なり、月々1.2万円~6.8万円です。

加入の条件

一般NISA つみたてNISA iDeCo
日本在住で20歳以上 日本在住で20歳以上 ・60歳未満
・国民年金保険料を払っている
・会社に企業年金制度がありiDeCo活用を認めている
・農業者年金に加入していない

一般NISAとつみたてNISAは、日本在住で20歳以上であれば誰でも加入できます。iDeCoは、誰もが加入できるわけではなく、一定の条件をクリアすれば、加入できます。

途中での換金

一般NISA つみたてNISA iDeCo
いつでも可能 いつでも可能 原則60歳以降

一般NISAはいつでも必要なときにお金を引き出せます。
つみたてNISAの場合は、長期的に資産を作る投資法ではありますが、必要になったときは積み立てた資金を引き出せます。
しかしiDeCoは、決められた期間までお金を引き出すことはできません。

運用期間

一般NISA つみたてNISA iDeCo
最長5年 最長20年 60歳で受け取るには10年以上の積立が必要

一般NISAの運用期間は、最長で5年です。ただし5年間の期間が終了しても翌年の非課税投資枠に移せます。
ただし、投資可能期間は2023年までのため、2019年以降の投資枠は非課税投資枠に移せません。
つみたてNISAの運用期間は、最長で20年間です。

iDeCoは、10年以上たっていれば、60歳から受け取り可能です。60歳になったとき、まだ10年以上経っていなかった場合は、加入期間によって受け取りの年齢が決まります。

iDeCoの受給開始年齢

引用:国民年金基金連合会

取扱商品

一般NISA つみたてNISA iDeCo
国内株式、外国株式、投資信託など 国が厳選した投資信託、ETFのみ 投資信託、元本保証の定期貯金等

取扱商品は、加入する証券会社や銀行によって違いますが、一般NISAは株や投資信託など、つみたてNISAは国が厳選した投資信託とETFのみです。

iDeCoは、元本保証の定期貯金や投資信託などが選べます。

節税効果

一般NISA つみたてNISA iDeCo
年間120万円内の運用で得た利益に対して非課税 年間40万円内の運用で得た利益に対して非課税 運用で得た利益に対して非課税
掛け金が全額所得控除の対象
受取時に一定額の控除

NISA、つみたてNISAの節税効果は、決められた金額内であれば運用益が上がれば上がるほど、節税効果は上がります。

iDeCoの節税効果は、掛け金が全額所得控除の対象になります。運用で得た利益や利息にも税金はかかりません。

NISAとiDeCoを比べると、運用益の節税効果が同じであれば、iDeCoの方が所得控除分お得です。

手数料

一般NISA つみたてNISA iDeCo
無料の証券会社が多い 購入手数料は発生しない ・加入手数料2,777円
・月額手数料103円+64円+他
・受け取り時振込手数料432円

一般NISA、つみたてNISAともに手数料のかからない証券会社を選べば、基本的に無料でできます。ただし、証券会社によっては、株や投資信託の売買手数料がかかる場合があります。

つみたてNISAで投資信託を購入する場合には購入手数料が発生しないため、証券会社によって違いはありません。ただ、商品ごとに信託報酬というものが発生します。

一方、iDeCoは、加入手数料として一律、2,777円、運用のための月々の手数料は、国民年金基金連合会に103円、信託銀行に64円、そしてiDeCoを運用する金融機関に支払う手数料、もあります。また、受け取り時に振込手数料が一律432円かかります。

NISA、iDeCo のメリット&デメリット

NISAとiDeCoはどちらがよりお得なのでしょうか。メリットやデメリットを考えながら、より詳細に比較していきます。

NISAのメリット NISAのデメリット
・加入時、口座管理の手数料がかからない
・好きなタイミングで引き出せる
・元本保証がない
・投資金は所得控除の対象ではない

NISAのメリットは、加入時や口座管理の手数料がかからないことです。また、好きなタイミングで自由に引き出せる点もメリットです。

デメリットは、投資であるため元本の保証はないことです。また、投資金の所得控除もありません。

iDeCoのメリット&デメリット

iDeCoのメリット iDeCoのデメリット
・掛け金が全額所得控除の対象になる
・原則60歳になるまで引き出せない
・加入時、受け取り時、口座管理の手数料がかかる

iDeCoのメリットは、掛け金に対して所得控除が受けられることです。

デメリットは、一定の年になるまで引き出せないこと、加入時、受け取り時、口座管理の手数料がかかることです。

NISA・iDeCoに向いている人

NISAやiDeCoともに投資商品を購入することになるため、ある程度の貯金できている人に向いています。
一方、貯金できるお金のない人には、NISAやiDeCoは向いていません。

現在、定期的に貯金をしている人は、NISA、iDeCoの併用、あるいはどちらかを選んで、始めてみるとよいでしょう。

NISAに向いている人

  • 所得税がかからない主婦
  • 10代20代の若い世代
  • iDeCoに加入できない会社員
  • 60歳になる前に資金が必要になる人
  • 退職金などのまとまったお金を手にした人

NISA、つみたてNISAは、所得控除の対象恩恵を受けることができないので、所得のない主婦の方などはiDeCoよりはNISAが向いているでしょう。
また、「長期積み立てはしたいけど60歳までお金を引き出せないのは不安」、「退職金をもらったので投資を始めてみたい」という方にもNISAがおすすめです。

iDeCoに向いている人

  • 会社員、パート主婦、自営業などで収入のある人
  • 60歳までお金を引き出す予定がない人
  • 退職金がもらえない人

iDeCoのメリットは、掛け金が所得控除の対象になり、所得税や住民税の負担が軽くなることです。
ですから、収入があり、所得税や住民税を納めている人にはメリットがあります。

なかでも、60歳まで掛け金を引き出せなくても問題がない人は、iDeCoがおすすめです。
退職金がもらえない人、退職金制度がない場合も、iDeCoを退職金のかわりに活用できます。

NISAとiDeCoの併用に向いている人

  • 所得控除のメリットを受けられる50歳くらいまでの人

所得控除のメリットを受けられる50歳くらいまでの会社員やパート、自営業の人は、NISAもiDeCoも併用すれば、大幅な節税になります。

NISAを始めるのにおすすめの証券会社

NISAを始めるためには、証券会社での口座開設が必要です。さらにNISA口座は1人1口座、変更も1年に1回しかできないため、初めて口座開設をする人は慎重に選びたいところです。

以下の5つの証券会社は、NISAの取引手数料が無料、また、アプリの使いやすさや取扱商品の充実度から見ても初心者におすすめできる証券会社です。

これら5つの証券会社であればどれを選んでも問題ありませんが、NISA口座で購入できる商品は証券会社によって少しずつ異なるため、購入したい商品が決まっている人はそれぞれ比較して選んでみてください。

証券会社名 一般NISAの取扱商品 つみたてNISAの取扱商品 詳細

国内株式、投資信託、外国株式・海外ETF 国が定めた基準を満たした投資信託(151本) 公式HP

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この記事のまとめ

NISAとiDeCoを活用することで節税効果を最大限に受けることができます。将来のために投資による資産形成を始めてみようかなと考えている人は、自分がNISAとiDeCoどちらに向いているのか、または併用するべきなのか検討してみましょう。

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