株が上がるのはどんなとき?株価が上がる銘柄を見つける方法

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監修者 森永 康平
経済アナリスト
森永 康平 (もりなが・こうへい)
証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとして日本の中小型株式や新興国経済のリサーチ業務に従事。その後はアジア各国にて事業責任者やCEOを歴任。現在は複数のベンチャー企業のCOOやCFOも兼任している。著書に『親子ゼニ問答』(角川新書)

「株価が上がるタイミングの見分け方を知りたい!」

未来の株価を100%予測することは不可能です。

とはいえ「株価が上がるタイミング」や「これから上がる株」などは、株初心者問わず、どんな投資家でも知りたい情報でしょう。

株価が上がる可能性の高い株を探すために、株の買い手が増える状況を考えてみましょう。シンプルに考えると、その株を買いたい人が増えれば、株価は上がります。

また、株の買い手が増える要素は一つではありません。企業をとりまく環境やニュースなどからの予想が必要です。いくつかのポイントをピックアップして本記事で解説します。

  • インフレや原油の高騰などで日経平均株価が上がる
  • 株価が上がる銘柄を見つけるにはファンダメンタルズ分析とテクニカル分析が必要
  • ファンダメンタルズ分析では売上高など「会社」を分析する
  • テクニカル分析ではチャートを見て「株価の値動き」を分析する

株価が上がるのはどういうときか?

株価は買い注文が多ければ上昇し、売り注文が多ければ下落します。「いつ株の買い手が多くなるか?」を予想してみましょう。

業績好調

長期にわたって業績好調な場合、さらなる業績拡大への期待から、原則として買い手が増えることになります。ただし「業績がいい=株価が上がる」ではありません。短期間の株取引では、機関投資家の動向や投資家間の思惑、駆け引きで株価が急騰・急落します。

また、増益しているにもかかわらず、株価の動きが不安定な銘柄もあるため、あくまで業績は「株価の変動に影響する要素の一つ」として考えましょう。

配当が年々増えている

配当をひと言で説明すると「株主への還元」です。企業が配当金を増やしたり(増配)、業績改善で再び配当金を出したり(復配)したとき銘柄には人気が集まり、買われやすくなります。「業績が好調のため増配する」という流れも多いため、業績と配当内容はセットで分析しましょう。

「新製品開発」などのニュース

新製品、新サービス、新工場などの業績や事業拡大につながるニュースは、一時的な株価上昇に影響する場合があります。上がる株を探すうえで目指すべきは「新情報をいち早く入手する」ことです。常日頃から銘柄の動向を細かくチェックすること、SNSやニュースサイトに流れる最新の情報などに聞き耳を立てることも意識してみましょう。

IPO(新規公開株)投資にも挑戦してみよう

IPO(新規公開株)は、これから上場する企業の株のことです。「上場して資金を集め、事業を拡大したい」と考える企業への期待から株が買われ、株価上昇につながる可能性があります。

公開直後に株を売って利益獲得を目指す投資家も多いですが、IPO株を買うには抽選に申し込み、当選しなければいけません。購入したい方はまず申し込みを済ませましょう。

こちらの記事ではIPO投資の始め方を解説しています。

オリンピックなどの大型イベントに関わる株を探す

2020年東京オリンピックなど、国際的なイベントが関連銘柄の株価を上昇させる場合があります。警備会社のALSOK【2331】を例に挙げてみましょう。

ALSOKの株価

引用元:(Yahoo!ファイナンス)※表示の株価は2019年10月29日時点

2013年9月に東京オリンピック開催が決定、2015年10月には警備会社のALSOKがオリンピック・パラリンピックのオフィシャルパートナー契約を締結しました。

2015年初頭からALSOKの株価は上昇しています。つまりALOSKはオリンピックのパートナー契約を結ぶ前からイベント関連銘柄として「株価が上がるのでは?」と期待されて買い手が多く集まっていた、という分析もできるのです。

業績やニュースなど過去のデータを分析することも大切ですが「これから上がる株」を探すためには、投資家の期待と事実をつなぐ仮説が必要です。仮説を立てるために必要な情報は新聞や雑誌、投資情報サイトなどで収集できます。「自分が立てた仮説」が実際の株価として現れたときに「上がる株を見つけられた」といえるでしょう。

ファンダメンタルズ分析をして株価の割安度をチェック

ファンダメンタルズ分析とは、おもに企業の業績(財務情報)や株価から、企業の財務内容や株価の割安度をチェックする方法です。具体的には、決算の際に発表される業績、株価情報、企業の関連ニュースなどを参照します。

確認する項目例

  • 売上高
  • 営業利益
  • 経常利益
  • 当期純利益
  • PER(1株当たり投機純利益)
  • PBR(1株当たり純資産)
  • ROE(自己資本比率)
 

これらの項目は、四季報や投資情報サイト、各会社のホームページのIR情報に掲載されています。またネット証券会社が提供するスクリーニングツールを利用すれば、過去の業績や配当履歴を調査可能です。

チェックポイントの例
  • 営業利益が増えている…企業が営む本業が好成績
  • 経常利益が増えている…本業と、本業以外で獲得した財務活動の収益なども含めて企業が総合的に成長している

営業利益や経常利益など、企業の各種利益は、業績や今後の企業動向を判断するうえでわかりやすい指標です。その他「今の株価が企業にとって割高か、割安か」などを知る指標(PER・PBRなど)もあります。

  • PERが15倍以下
  • PBRが1倍未満

PERとPBRだけで判断する場合、一般的に上記が割安の基準とされています。ただしPERは業界によって平均値が異なるため、同業界の競合企業とも比べましょう。

詳しい分析方法は「株の分析の基礎知識」の記事をチェックしてみてください。

ファンダメンタルズ分析で「買わない理由」を探す

「分析した結果、増益した企業の株を買えばいい?」という判断は、正解とは言い切れません。分析できるデータはすべて過去のもので、未来の株価を100%予想することは不可能です

ファンダメンタルズ分析では「悪材料」を排除する考えをもってみましょう。例えば「配当利回りは高いが、5年間で業績が悪化し続けており1度も増配していない」銘柄への投資を回避する考え方も必要です。

チャートを利用した分析

個人投資家によっては、相場や株価チャートの推移から上がる株を予想するテクニカル分析を行います。

ファンダメンタルズ分析が、株価だけでなく指標を通じて「企業自体」を分析するのに対し、テクニカル分析は「株価の値動き」で判断します。 テクニカル分析の一例は「過去に記録した高値を線で結び、その線を超えれば株が上がる(レジスタンスライン)」などです。株価の動き方を根拠に、上がる株を予想します。

監修者はこう見る 2020年の注目業界

最後に経済アナリストの森永氏が、2020年以降の業界動向を予測します。10%に引き上げられた消費税と、各産業の売上高から注目したのは「デフレ銘柄」でした。

低価格業界

10月1日の消費増税の影響はまだ大きく表れてはいませんが、いま発表されている物価や各産業の売上高に関するデータを見ていると、今後は景気悪化や低インフレ(場合によってはデフレ)になる可能性が高まっているように思えます。そうなると、低価格でそれなりの質の商品を販売できる企業が恩恵を受ける可能性が高くなります。一般的に「デフレ銘柄」と呼ばれる低価格帯のチェーン店を運営する企業に投資妙味があり、逆に高価格帯の商品を扱う業界は厳しくなってくるでしょう。

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