目次
株の配当金とは何か
まずは以下の3つの注意点を押さえておきましょう。それぞれ、詳しく解説していきます。
配当金をもらうときの3つの注意点
- 保有時期:「権利確定日」の3日前までに株を購入する必要がある
- 配当の回数:会社によって配当金がもらえる回数が異なる
- 銘柄:配当金のない会社もある
株の配当金の基礎知識
配当金とは企業が本業で得た利益を株主に還元する仕組みです。
金額は「1株あたりいくら」というふうに株主総会で決まります。年1回の「本決算」または「中間決算」も入れて年2回支払う会社が多いです。
配当金の額は企業の業績によって変化します。業績がよければ配当金は安定、もしくは上がる可能性もあります。
配当金が支払われる時期は企業によって異なりますが、3月決算の企業なら通常、その2~3ヶ月後に配当金の受け取りが可能です。
株の配当金がもらえる時期と仕組み
配当が出る回数は企業によって異なり、中には1年のうち中間配当と期末配当の2回出す銘柄もあります。
配当金はいつもらえるか
下の表は配当金を受け取る際の流れを表しています。
9月26日(木) | 9月27日(金) | 9月28日(土) | 9月29日(日) | 9月30日(月) |
---|---|---|---|---|
権利付最終日 | 権利落ち日 | - | - | 権利確定日 |
2019年9月の権利確定日は30日(月)でした。配当金を受け取るためには、2営業日前の26日(木)までに株式を購入しなければいけません。27日(金)以降に買っても2019年9月期の配当は受け取れないのです。
配当金をもらえるかどうかは保有期間ではなく「権利確定日」という日に株式名簿に自身の名前が載っているかによって決まります。
権利確定日は企業の決算時期によって異なるので、株式を購入する前にしっかり確認しましょう。
配当金を受け取るためには、権利確定日ではなくその2営業日前である「権利付最終日」までに購入する必要があります。 株式名簿に名前が載るまでは、株を購入してから2営業日かかります。そのため前日や当日に買っても配当金を受け取ることができないので注意しておきましょう。
配当金の受け取り方法は4種類
株式の配当金を受け取る方法は以下の4通りです。
- 株式数比例配分方式 各証券会社で保有している株数の残高に応じて、それぞれの証券会社の口座に配当金が入金されます。複数の証券会社で取引している場合でも、1社でこの方式を選ぶと、他の証券会社の口座にも適用されます。
- 登録配当金受領口座方式 複数の証券会社に口座があった場合、指定した1つの金融機関の口座に全ての株式の配当金が振り込まれる方法です。
- 配当金受領証方式 株式の配当額が決まると、「配当金受領書」が株の発行会社から直接送られてきます。必要事項に記入・押印して郵便局もしくは銀行に行けば、配当金を受け取ることができます。
- 個別銘柄指定方式 銘柄ごとに配当金を受け取る口座を事前に指定しておけば、指定した金融機関に配当金が振り込まれます。銘柄ごとに金融機関を選ぶことも可能です。
特別な事情がなければ、株初心者は「株式数比例配分方式」を選んでおきましょう。株式数比例配分方式であれば、証券口座に配当金が入金されるため、再投資や送金に手間がかかりません。
配当金と株主優待の違い
株主優待は、企業から株主への利益の還元という点で配当金と同じ制度です。株主優待では、企業から株主へ自社のサービスや製品などがプレゼントされます。2018年9月末で上場企業の38.5%が株主優待を実施しています(大和インベスター・リレーションズ調べ)。
株主優待の内容は、自社商品の詰め合わせや店舗の利用券の他、お米券やクオカードなどの金券など、多種多様です。優待内容は、会社四季報や企業のホームページ上にある「IR情報」などから調べられます。
株の配当金はどのくらいもらえるのか
次に実際に配当金はどのくらいもらえるかについてご説明しましょう。配当金は保有している株式数に応じて支払われ、一株あたりの配当金×保有している株式数が実際にもらえる配当金額になります。
例えば、A社の配当が1株あたり50円とします。100株保有していると、受け取れる配当金は以下のとおりです。
配当金=50円✕100株=5,000円
配当金は、保有株数に応じて以下のように変わります。
保有株数 | 配当金 |
---|---|
100株 | 5,000円 |
200株 | 10,000円 |
500株 | 25,000円 |
1,000株 | 50,000円 |
一株あたりの配当金が多いのか少ないのかについては、配当利回りを比較することによって判断できます。
- 配当利回り
- 一株あたりの年間配当金を現在の株価で割って算出したもの。例えば、現在の株価が1,000円で、年間の配当金額が10円であった場合、配当利回りは10÷1,000×100=1%
2019年11月時点の東京証券取引所1部の予想平均利回りは1.9%です。一般的に配当利回りは3%を超えると「利回りの高い株」だといわれています。
配当利回りは常に変化する
配当金の有無や、配当利回りについてはインターネット上で公開されています。気になる銘柄があれば調べてみるといいでしょう。
雑誌などでも「利回りランキング」として、配当利回りが高い企業をランキング形式で紹介しています。注意しておきたいのは、配当利回りは株価に応じて常に変動することです。配当利回りだけを指標にして、購入する株を選んではいけません。
株価下落でも配当利回りが上がる
もう一度、配当利回りの計算式を確認してみましょう。
配当利回り=1株あたりの配当÷株価✕100
配当が多くなって配当利回りが上がるのはいいのですが、株価が下落しても配当利回りは上昇します。業績悪化などで株価が下落して配当利回りが上昇している場合、将来的には配当金が減ったり、なくなったりしかねません。また、配当金よりも株価下落分の損失(売買での損失)が上回ることもあるため「配当利回り」だけを購入する基準にしないようにしましょう。
配当金を狙うためには銘柄選びが大切
配当益を目指して株式を購入するときは、配当利回りの他、企業の業績や配当の履歴に注目します。
銘柄選びの手順
銘柄を選ぶときの手順とチェックポイントは以下のようになります。
- 投資資金を決める まずは投資資金を設定します。100株を売買の単位(単元株)としている企業であれば、10万円程度から購入可能です。 このとき、投資資金の全てを1つの銘柄に投じるのではなく、少なくとも2〜3銘柄に分けて買いましょう。そうすると、株価下落時のリスクも同じく2~3ヵ所に分散できます。
- 興味のある企業から選ぶ 配当金目的、つまり長期保有前提で株式を買うにしても、最低限四半期ごとの決算情報は追う必要があります。自分の興味のない企業や、イメージが湧かない企業だと決算情報の確認などを怠りかねません。そのため、興味をもてる企業から情報収集してみましょう。
- 配当利回りと過去の配当状況を確認する まずは一般的な高利回りとされている、3%を配当利回りの目安にするといいでしょう。ただし配当利回りが3%を超えていなくても、連続増配している企業は要チェックです。例えば、20年以上にわたって連続増配をしている花王(4452)は2019年11月時点の配当利回りは1.4%ですが、連続して配当金を増やしています。業績とセットで確認して好調であれば、長期保有を検討する材料になります。
- 業績をチェックする 株式を購入する前は、業績のチェックを行いましょう。証券会社の企業情報の項目にまとまっているので難しいことではありません。配当原資となる当期純利益が安定して推移しているかを確認するようにします。最低でも過去5年程度はチェックするようにしましょう。
- 購入するタイミングを決める 購入する銘柄が決まれば、基本的にどのタイミングで買っても長期保有が前提なら問題はないでしょう。
ただし、権利確定月での購入は要検討です。高配当銘柄として人気が高い銘柄は、権利確定日に向かって株価が上がっていく傾向があります。どちらかのタイミングで購入するなら、権利確定後を選びましょう。
米国株も配当を出している
株主重視の傾向が強い米国では、配当金を積極的に出している企業もたくさんあります。特に、「配当貴族」と呼ばれる企業が有名です。配当貴族とは、25年以上連続して増配している優良企業です。
以下は「配当貴族」銘柄の例(2019年11月時点)です。
コカ・コーラ(KO) 連続増配57年 配当利回り 3.01%
世界を代表する飲料メーカー。「コカ・コーラゼロ」などの糖類オフ飲料に加え、エナジードリンクもリリース。堅調な業績で人気を集める。
エクソン・モービル 連続増配34年 配当利回り 5.05%
石油の採掘から販売までを垂直統合して行うことで、シェアの多くを寡占する「石油メジャー」の1社。増配を続けながらも、配当性向は40%以下に抑えている。
ジョンソン&ジョンソン 連続増配54年 配当利回り2.77%
世界大手の総合ヘルスケア企業。製薬だけでなく、医療機器などのジャンルでも高いシェアを誇る。金融危機の局面でも増配を続けてきた。
日本でも有名な企業が、このように株主重視の姿勢から連続増配を続けているのです。配当狙いで株を買う場合は、米国株も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
株の配当金をもらうにはまず株を買おう
最後に、まだ証券口座をもっていない方に向けて、編集部が取引手数料の安いネット証券会社を3社ピックアップしました。配当金を狙った取引を始めるために、口座開設から取り組んでみましょう。
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※:2019年9月現在