株式投資のメリット
株式投資のメリットとしてもっともポピュラーなのは「買った株を高く売った時に利益を得られる」ということでしょう。
株の売買によって得た利益を「キャピタルゲイン」といいます。
キャピタルゲインを得る方法だと、刻々と変わる相場を見て取り引きをするデイトレードや、資産形成のために長期で保有する長期投資など投資パターンを選べるのもメリットといえます。
しかし株式投資のメリットは、キャピタルゲイン以外にも「配当金」で利益を得る「インカムゲイン」や「株主優待」も大きいのです。
この2つの利益について詳しくみていきましょう。
株を持っているだけでもらえる「配当金」
「配当金」とは、企業の業績によって株主に還元されるお金です。
配当金の額は会社の方針や業績によって異なりますが、1年間でどれぐらいの配当金がもらえるかを表した「配当利回り」という指標で知ることができます。
現在だと5~6%台の配当利回りの株も数多くあります。
仮に配当利回りが5%だとすると、100万円分の株を持っていた場合、1年間で5万円の配当金を受け取れるということです。
注意すること
いくら配当金がもらえたとしても、保有期間中に株価が下がればトータルで見ると損をしているということも十分に考えられます。
また配当金が減ったり、なくなったりするケースもあります。
配当金の原資は企業の利益ですから、業績が悪化すれば、配当金を減らしたりなくしてしまう企業も当然出てきます。
現時点の配当利回りだけを見て判断せずに、しっかりと業績も確認しましょう。
配当金をもらうには、少し難しい言葉ですが「権利確定日」(一般的には決算日と同じ日)に株主名簿に名前を登録されている必要があります。
配当金についての詳しい記事もありますので、ぜひ参考にしてください。
配当金についてもっと詳しい記事を読む
株の配当金はいつもらえる?利回り計算と銘柄選びができる方法も解説
選ぶ楽しみがある「株主優待」
次に「株主優待」について説明します。
企業が株主に対してモノやサービスを提供することを株主優待と総称しています。
株主優待は非常に種類が多く、その企業が扱っている商品をもらえるケースもあれば、食事券や割引券、お米や図書カードなどがもらえるケースもあります。
株主優待をもらうためには、前述の配当金と同様に「権利付き最終日」までに株を買っておく必要があります。
また、一般的に100株以上の株を買う必要がありますが、株価が低い企業であれば、10万円以下で株主優待の権利を得ることもできます。
300株以上、500株以上、1,000株以上など、保有株数が増えると株主優待の内容が豪華になる企業もあります。
配当金と同様に、「株主優待利回り」という指標も最近は出てきています。
なかには最低投資金額よりも優待で得られる利益が大きいため、優待利回りが100%を超える会社もありますし、10%を超える会社も数多くあります。
注意すること
配当金と同様、業績に応じて株主優待の内容が変わったり、なくなってしまうこともあるので、会社の業績やニュースには注意しましょう。
また、お金としてもらえる配当金と異なり、株主優待はその会社の商品や、その会社が提供しているサービスの優待券など、用途に制限がかかっていることが多くあります。
株主優待の場合は、純粋に利益だけを求めるのではなく、好きな会社の株を買って応援しつつその会社からプレゼントをもらえるといった考えの方がよいかもしれません。
株式投資のデメリット
どんな投資の仕方をしたとしても、株式投資にはリスクがあります。
メリットだけではなく、デメリットについても同時に学びましょう。
株式投資は投資信託や債券に比べて値動きが激しいものです。
当然、大きく値上がる可能性もあるのですが、将来を確実に予測が出来ない以上、大きく値下がるおそれがあることも頭に入れておきましょう。
業績が悪化すると株価も下がっていきやすく、最悪のケースは投資先の企業が倒産することです。
「上場企業なんだから、そう簡単には倒産しないでしょう」と思われがちですが、そんなことは決してありません。
2000年から2019年までの19年間のデータを見てみると、上場企業の倒産がなかった年は2014年と2016年の2年だけで、それ以外は毎年1件以上が倒産しています。
2011年以降、倒産件数はずっと1ケタですが、過去には30件以上が倒産した年もありました。2008年、リーマンショックが起きた年です。
今後、世界的な経済危機が訪れれば、再びこのような状況に陥ることはあるでしょう。
事前にどの企業が倒産するかを正確に予測するのは不可能ですから、重要なのは1つの会社の株に集中投資をするのではなく、いくつかの会社の株に投資先を分散しておくことです。
投資のメリット・デメリット比較
資産形成を考えた時、株式以外にも金融商品はあります。
「どの金融商品が一番いいのか?」と、どれか1つだけを選びたくなりますが、全ての金融商品にはメリットとデメリットがあります。
それぞれをしっかりと理解したうえで、自身の資産状況や目的に合ったものを探しましょう。
各商品のメリットとデメリットは下表にまとめてあります。
少し具体的に見ていきましょう。
株式投資の種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
現物取引 | ・大きな値上がりが狙える ・配当金や株主優待がもらえる企業もある |
・投資先が倒産するおそれがある ・投資先によっては値動きが激しい |
信用取引 | ・レバレッジをかけられる ・売りから入ることができる |
・現物取引に比べてリスクが高い ・場合によっては追加の資金を求められる |
IPO | ・上場初日から大きく値上がりする可能性がある |
・上場初日から大きく値下がるおそれもある ・IPO株を手に入れるのは競争率が高い |
株式投資以外 | メリット | デメリット |
FX | ・24時間取引ができる ・レバレッジをかけられる |
・レバレッジを大きくかけると一瞬で多額の損失を出す可能性がある ・場合によっては追加の資金を求められる |
債券 | ・満期まで保有すれば投資元本が戻ってくる ・定期的に金利収入がある |
・発行体がつぶれるおそれがある |
投資信託 | ・手軽に分散投資ができる ・少額から投資ができる |
・1日1回しか値段が更新されない ・値下がりのリスクはある |
例えば株式投資でも「信用取引」であれば、レバレッジをかけて大きな利益を狙うこともできますし、売りから入ることも出来ます。
取り引きのタイミング次第では少額でも大きな利益を期待できますし、売りをうまく活用すればリスクを抑えて株主優待を手に入れることも可能です。
しかし、その逆もまた然りで、レバレッジをかければその分リスクも上昇しますし、売りはタイミングを誤れば大きな損失を生みます。
しっかりとリスクを理解したうえで、それでも信用取引をやるべきだと思う方は、信用取引用の口座も同時に開いてみてもいいかもしれません。
信用取引について詳しくはこちらの記事へ
信用取引とは?投資初心者が始める前に学ぶべきリスクと基礎知識
また、株式投資には「IPO」という投資もあります。
これまで証券取引所に上場していなかった企業が取引所に上場する際、上場前に事前に決まった値段で買っておいて、上場後に売却します。
期待が大きい企業であれば、上場初日から大きく値上がりをすることもあり、短期間で大きな利益を得られる可能性があります。
しかし、当然この場合も逆に大きく値下がるケースもありますし、そもそも人気企業の場合は抽選に当たらないこともあります。
IPOの始め方についての記事はこちら
初心者でも簡単?IPO株の始め方と申し込み~購入までの流れ
株式以外にも債券やFX(外国為替証拠金取引)、投資信託などの金融商品がありますが、投資をする前に必ず各商品のメリットとデメリットを確認する習慣をつけましょう。
また、メリットとデメリット以外にも自身の目標と照らし合わせることも重要です。
例えば、長期保有を前提とするのであれば、少額から投資が可能で手軽に分散投資ができる「投資信託」も選択肢として有力です。
また、債券であれば定期的に入ってくる金利収入や満期を迎えた時に返ってくる金額が事前に計算できるため、リターンは低いですがリスクも低めです。