株は副業になる?会社員が株式投資を始める前に知っておきたい対処法

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「株を始めてみたいけれど、株は副業に含まれる?」
「自分の働いている会社は株取引をしても問題ないのか?」

こんな悩みを持っている方は少なくありません。
当記事では、株式投資が副業に該当するのか、会社にバレないようにするにはどうすればよいのか、株の副業でどれくらい利益が出るのかといった、株式投資と副業に関する疑問を解消していきます。

株が副業になるパターンとは

まず結論として、株式投資は副業ではありません

そもそも副業とは何を意味する言葉か、確認したいと思います。
一般的には本業と別に収入を得ている仕事を副業と呼びますが、実は副業の明確な定義は存在しません。

そして副業が許されるかどうかは、お勤めの会社の就労規則によります。
ただし、公務員は明確に国家公務員法や地方公務員法で副業が禁止されています。

「株式投資での利益は本業以外の収入だから副業になるのでは?」と思うかもしれませんが、副業と株で大きく性質が異なるのは、株は財産の一部であるという点です。

例えば公務員でも、両親からの遺産で株を持っている方がいます。この人が株で利益を得たとしても、それは副業に当たりません。
なぜなら、株は財産の一部であり、財産をどのような形(現金、株、債券、不動産等)で保有するかは個々人の自由であるため、それを妨げる法律や規則は基本的に存在しないためです。

株が副業になる人・ならない人

ただし一部の方は、株が禁止されています。それは金融機関に関連した仕事をしている人です。
これらの人々はインサイダー情報を入手する可能性があるため、一般的に就業規則で株式投資が禁止されています。

金融機関ではなくても、金融機関に関連する仕事を受注する会社にお勤めの場合は同様に規制禁止されている可能性があるため、就業規則をよく確認してください。

また副業が認められているほとんどの企業では「本業に支障をきたさないこと」が必須要件となっています。

株は副業にならないとはいえ、取引に夢中になって本業がおろそかになった場合、何らかの処罰が下る可能性は否定できません。この点は特に注意してください。

株の副業を始めているはどんな人?

株を始めるキッカケは人によってさまざまですが、本業で得たお金を銀行に預けておくのはもったいないと感じた人が、株を始めるケースが多いです。

2020年2月時点で、メガバンクの普通預金金利は0.001%となっています。これは、100万円預けた場合、もらえる金利は1年で10円(税引き後8円)と、非常に少額です。

100万円の運用の違い(年間)
投資先 リターン 利率 もらえる金額
銀行預金 預金金利 0.001% 10円
株式 配当 1~3% 1~3万円

一方で、株には売買で得る利益のほかに、保有しているだけでもらえる配当金や株主優待が存在します。
株の銘柄や購入株数によってもらえる配当金は変動しますが、100万円分の株を購入した場合、1万円から3万円程度の配当金を受け取れます。

それに加えて、株主優待として、ギフトカードや企業の商品等を受け取れるため、生活費の補填とすることも可能です。

なお、配当金や株主優待についての記事もあります。

具体的な取引のスタイルは、頻繁に取引するトレーダーのような人ではなく、中長期目線で投資をしている人が多数派です。

なぜなら、頻繁で短期的な取引をする場合、常に株価を見張っておく必要があるため、本業に支障をきたさずに取引することが難しいためです。

そのため、一度株を購入したら、基本的に売買せず保有したままで、終業後、帰宅して株価をチェックするような中長期的な投資方法が主流となっています。

サラリーマンの投資についても詳しい記事があります。

株の副業は会社にバレる?バレない?

繰り返しとなりますが、株投資は厳密には副業ではありません。

しかし、仕事中の取引や、株価のチェックなどで業務に支障をきたした場合、処罰の対象となる可能性があります。そこで会社や周囲の人に、株投資がバレない方法をご紹介します。

副業がバレるタイミング

株取引が周囲や会社にバレるタイミングは、おおよそ3パターンに区分されます。ここでは、それぞれのケースを紹介していきます。

  1. 勤務態度の変化から
  2. 住民税から
  3. 周囲の人から

1つ目は、勤務態度の変化からバレるケースです。

株取引は日本だけでなく、海外の市場でも可能です。
そのため、取引に夢中になって睡眠不足となり、遅刻や欠席、勤務中に居眠りをする等、勤務態度の悪化からバレることがあります。

加えて、業務時間中に取引をした場合も、周囲の人にその姿を見られてバレる可能性があります。
そもそも、株が副業でなく問題ないとされるのは、業務時間外に取引する場合であり、業務時間内の取引は就業規則違反となります。

また、社用のパソコン、スマートフォンで取引をした場合、その履歴からバレる可能性があります。そもそも、会社の業務を行うために支給された道具を業務目的以外の私用で使ったこととなるため、罰則の対象となりうるので、注意してください。

2つ目は、住民税からバレるケースです。

会社は、従業員の給与を税務署に報告しています。その際に、経理担当者などが株取引により住民税の金額が増えていることから、バレることがあります。

3つめは、周囲の人からバレるケースです。

初めて株取引で利益が出た場合など、ついつい実績を口に出して、周囲にバレることがあります。

また、株取引をしていることを言わなくても、これまで関心の薄かった経済動向や株価の変化などの話題が増えた結果、周囲に悟られることもあります。

副業がバレないようにする方法はある?

株取引がバレないようにするには、上述の3パターンをそれぞれ対策する必要があります。
1つ目の勤務態度については、短期取引を避け中長期的な投資をすることで解決します。
夜間の取引や、頻繁な取引をせずに、株を購入したら保有し、帰宅してから自宅で株価を確認する。

こうすることで、業務態度の悪化、業務時間内の取引、社用パソコン、スマートフォンからの取引がそもそも不要となるため、バレることはないでしょう。

2つ目の住民税は、税金の払い方を工夫することで解決します。
具体的な方法は二つで、一つは自分で確定申告をする、もう一つは取引する証券口座を、特定口座(源泉徴収あり)に設定することです。

この種類の口座にしておけば、証券会社が住民税と所得税を自動で引き下ろします。さらに確定申告も不要となるため、サラリーマン投資家のほとんどは、この特定口座(源泉徴収あり)を利用しています。

3つ目の周囲からバレるケースは、そもそも不用意な発言はしないというシンプルな対応で解決できます。

利益が出た時に誰かに話したくなる気持ち生じるかもしれませんが、そこはバレた後に職場環境で働きづらくなることを想像し、我慢してください。

株の副業で得られる収入はいくらくらいか

では、株で得られる収入はどの程度でしょうか。

もちろん個人の投資スタンスによって得られる収入は変わってきますが、一般的には投資額の年5%程度が期待できる数値です。

100万円を投資した場合、年間5万程度の利益が見込めることとなります。
この数字の根拠は2つあります。

1つ目は、ニューヨーク・ダウの平均上昇率です。
ニューヨーク・ダウはアメリカを代表する株価指数で、日本の日経平均のような指標です。
この名目上昇率が1916年から2016年までの期間で約5.5%となっています。
今後も必ず同様のペースで成長し続けるわけではありませんが、過去の実績を踏まえれば、5%程度のリターンを得られても不思議ではないでしょう。

2つ目は、株式の配当率です。
株は保有しているだけで配当金と呼ばれる現金を受け取ることができます。
配当金は企業によって異なりますが、配当利回りが5%前後の企業は少なくありません。
ですので株の売買をせずとも保有しているだけで、毎年5%程度の利益を得ることができるのです。

なお年5%程度という数値は、あくまで一般的な数値ですので、それを大きく上回ることもあります。
例えば、2019年にニューヨーク・ダウの上昇率は20%を超えました。
100万円投資していれば1年間で20万円以上のリターンとなった計算です。このように大きく利益を得ることができるのも、株の魅力の1つでしょう。

株の副業に初めて挑戦するためのステップ

初めて株取引に挑戦するためには、まず証券会社を選択し、証券口座を設定する必要があります。ここでは利用者数が最大のネット証券会社である、SBI証券の口座設定方法をご紹介します。

手順 説明 画像
必要事項の入力、各種規約の同意
公式HPにて「口座開設はこちら」をクリックすると「SBI証券 口座開設申込フォーム」に遷移します。
このページで、必要事項の入力と各種規約を確認しましょう。
また、本人確認確認書類の提出が必要となりますので、画面の指示に従って本人確認書類を提出します。
初期設定 Webサイトにログインし初期設定の案内画面が表示されたら、勤務先や出金先の金融機関などを登録します。

数日後「口座開設手続完了のご案内」が簡易書留郵便で郵送されますので、受け取れば口座開設完了となります

口座を開設したら、いよいよ株式購入です。
株の購入方法や初めて株を買う初心者向けに株式投資の全体像をまとめた「株初心者がこれから学ぶ株式投資入門」の記事もぜひご覧ください。

この記事のまとめ

株式は財産の一部と見なされるため、会社員が投資を始めても副業にはなりません。
値上がりや値下がりのリスクを気にしたくないという方は、長期保有で配当金や株主優待を受け取る投資から始めてみるのもいいでしょう。

執筆者 堤國之助
ファイナンシャルプランナー
堤國之助 (つつみ・くにのすけ)
国内証券会社を経て、外資系コンサルティングファームに勤務。 並行して、独立FP(ファイナンシャルプランナー)として投資初心者に向けたコンサルティングを実施。

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